|行政:栃木県日光市〜足尾町標高:□1192.9m
|1/25000地形図:日光南部(日光8号‐4)調査:2002年7月


 栃木県足尾と日光市を結ぶと同時に、足尾の銅山で採掘された鉱石が精錬所へ運ばれた道でもある。1978年に日足トンネルが完成して以来、彼は遊歩道としての余生を送りつつあるが、ここはぜひとも自転車で登ってほしい峠である。


 足尾町田元の交差点から旧道の分岐までは、長く緩やかな坂道が続く。分岐には自然歩道としての解説看板があり「長い長い峠道」という副題つき。日本最初の索道もこの峠にあったと、看板は教えてくれる。12kmの長い峠道の始まりである。


 谷の左岸に渡って、新道を上に見ながら緩やかに登っていく。入口上部に排気建屋を頂いた日足トンネルが見える頃から地蔵尾のつづら折れが開始。このつづら折れ、他所ではまずお目にかかれないだろうというような見事なつづら折れである。上部ではさすがに破綻を来して1.5車線の急坂があるが、ほとんど全線2車線の上にここまでの密度のつづらを切れるとは奇跡的である。しかもこの水平方向の圧縮率、整然と繰り返すスパンの美しさはどうだ。余りに面白くてどんどん登ってしまい、ついさっきまで横にあった谷底も瞬く間に遥か下方になってしまう。



 地蔵尾のつづら折れが終ると、峠のある谷に移って、峠直下でもひとしきりのつづら折れ。地蔵尾に比べれば地形が緩やかになることもあり、ややインパクトに欠ける登りだが、かえってブナの森の深さと静かな二車線道の絶妙な取り合わせが際だってくる。最後もやはり2車線で堂々と越え、「貫禄のある峠道」とでも表現してみたくなるような雰囲気だ。(報告者は密かに「キング・オブ・ザ・ツヅラ」の称号を与えていたのであるが、それは福島県〜山形県の大峠を走るまでのtemporaryなものになってしまった。真のつづら王は大峠が相応しく、細尾峠はむしろ上品な女王様とでも言うべきか)。北側も細かなカーブが続くがやはり南側のような迫力はなし。ここは南から登るべき峠である。北側の道いっぱいを壊しての工事が完了すればもう全く申し分ない。・・・通り抜けはそれまでお預けにしておこう。



 

 

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