|行政:長野県軽井沢町〜群馬県松井田町標高:
|1/25000地形図:南軽井沢(長野7号-1)調査:2002年7月


■背景 Background

 信越国境,国道18号バイパスの通過する峠・入山峠.何故この峠が旧道倶樂部活動報告書に? という御仁も,そうでない方も,まずは地形図を見てもらいたい.この道形が全てといっていい.この道を行きたくて,1996年の秋合宿の合流前に軽井沢の側から行こうとしたのだが,「車両通行止」の看板に出会ってしまったため退却してしまった.以下の調査は2002年の夏のものである.しかし,まさか2度も行くとは思っていなかったな.

■調査 Experiment


 軽井沢町側からは,県道43号にずばりそのものの「入山峠入口」という交差点がある.これを東に向かうのが最も確実でかつ楽なコースだ.1.5車線道でゴルフ場の間を縫っていくと,バイパス高架をくぐり,その道が森に入る直前から2車線巾の砂利道となる.このあたりの雰囲気はなかなかだが,ちょっと登るとすぐに荒れて狭くなってしまう.バイパスと並行し,簡易コンクリ橋でこれを越えて対岸へ.すぐにピークである.



 国道バイパスはそっけなく下って行ってしまうが,このピークには古代の祭矢場とされる遺跡がある.バイパス建設時に見付かったこの遺跡からは多数の石製のぬさが出土しており,峠に歴史的な興味を持っておられる方ならご存知の「峠の手向け」がなされた場所と考えられている.このような史跡の他にも,文正年間の銘が入った馬頭観音碑,旧旧峠の石畳道なども残っている.軽井沢というと旧中仙道の碓氷峠ばかりが有名だが,それより以前の東山道はこちらを通っていたと考えられているといいう.入山峠とはそんな峠である.


 

 

 さて,車道旧道のほうはというと,ピークから50mも下らないうちに「1.2km先で橋欠損のため通行止」という看板が現れる.実は報告者は以前にもここへ来たことがあり,この看板を見て引き返してしまっているのだが,実際には何の問題もなく麓まで降りることが可能である.勿論,自転車でならば,だが.

 

 


 コンクリート道と砂利道が交互に現れる道は,程よく寂れていてある種の風情みたようなものさえある.大型車が我が物顔で通るバイパスを,橋で越えたりトンネルでくぐったり,三次元的に絡まりながらの下りが想像以上に面白い.平走するバイパスは常に手の届きそうなすぐそこにあるものの,旧峠からそちらへ移ることはできない.その必要があるとも思えないが,もし移りたいならフェンスを乗り越えて無理に入るしかないだろう.
 そのうちバイパスから離れ,森の中に入ったきりエンジン音が聞こえなくなる.その静寂のまま麓集落の赤坂へ.さらに下方で国道18号と再び合流する.久保のあたりにはカエデの大木と李の木の下にあまたの道祖神.

■考察 Discussion

 峠の祭祀場としては非常に有名な峠で,当報告書の報告者は未見だが,町の教育委員会から詳細な調査報告書が出ている.また遺跡の出土品に関しては國學院大學学術資料データベースの杉山林継博士写真資料データベースで見ることができる.出土品はもちろんバイパス工事前の峠も貴重な写真だ.

■参考文献 References


 

 

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