豊 | 泉 | 隧 | 行政:北海道豊浦町 | 標高:120m |
道 | 旧 | 道 | 1/25000地形図:豊浦(室蘭5号‐2) | 調査:1999年8月 |
礼文華峠に引続き、虻田郡豊浦町の旧道である。豊浦町は左右を山に挟まれた格好になっており、しかもその山は垂直に近い角度で海へと落ち込んでいる。国道230号はそんな海沿いを行くことが出来ず、この町に入るにはどちらも山中のトンネルを抜けていかねばならない。西は礼文華トンネル、東は豊泉隧道ほか小さなトンネルがいくつも続く。礼文華トンネルもそうであったが、この豊泉隧道の上部にも、人知れず旧道が残っているのである。簡単に言えば、西側のトンネル口のある谷から峠を越えて海岸側に出、そこをトラバースしながら虻田へと抜けていくことになる。ただし、海沿いだからといって展望を期待することはできない。完全な廃道であるから。
豊浦町が町制をとる前は「弁辺村」という名前であった。アイヌの人々がこの地を「ペウンペ」(水が出る処)と呼んでおり、それを取り入れた名前であったという。しかし「べんべ」という響きがあまりきれいではないので、町制を敷く際に現在の「豊浦」に改名された。豊かな山と浦に囲まれた土地である、という意味を込めたのだそうだ。改名に際して、弁辺が「古くから使われてきた由緒ある地名であったこと、またそれを改変すること」と認識した上で、議会での採決がとられたのだと、地名辞典の豊浦町の項に書かれてあった。できることならば、そうした「思いやり」も後世に残してほしかったと思う。「なぜ豊浦町というのか?」という問いに、果して何人の豊浦町民が答えられるであろうか。 |
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