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高倉峠 (こうくらとうげ)

【標高】960m
【行政】福井県南条郡今庄町〜岐阜県揖斐郡藤橋村
【経緯度】北緯:35°46′18″/東経:136°19′33″
【水系】九頭竜川水系芋ヶ平川(高倉谷)〜揖斐川水系揖斐川(赤谷)
【二万五千図】古木:NJ-53-7-10-3 岐阜10号-3
【五万図】冠山:NJ-53-7-10 岐阜10号 \ S50編
【ツーリングマップル】中部北陸 P52 1-F

 高倉峠と冠山峠を比べたとき、高倉峠は昔からあまり利用されていなかったようである。峠の石碑にも書かれているように、高倉峠を行き来したのは木地師程度であり、むしろ冠山峠や檜尾峠による池田(越前)とのつながりが大きかったことは「道」にも記されている。

■編集者のコメント

 ほんとうは本郷の話を書きたいんだけどここでは省略。国道は本郷から先、塚のちょっと向うまでなだらかなup-downが続く。大きな谷をどこまでも詰めていく。そのかわり、という繋ぎ方は変だけど、塚の先でひとたび登りはじめるとそこからは全くもっての登りである。小さな橋を渡って右手に折れた瞬間から戦闘開始。ヘアピンのあたりまで、10%前後のかなりの勾配がひとしきり続く。右手は大きく切れ込んだ谷であり、その頂上は霧に隠れて見えないような高さにある。ヘアピンを登り切ればふっと緩くなって、分岐が現れる。
 私が行ったときには全く通知が出ていなかったにもかかわらず、ここで高倉峠通行止でることを知らされる。なんともはや。未舗装部分の舗装工事をやっているそうである。そんなこと一言も云ってなかったじゃないかとぼやきつつ高倉峠へ向かう。この先しばらくは高みのフラットロード。そして70くらい下っていく。そうしてまた登り。人の気配も車の気配もない静かな谷だ。大きな尾根を一つ迂回すると、その尾根が落ち込む谷の最奥に峠らしきたわみが見える。しかしながらそれは高倉峠ではない。新TMにも載っているように、これはウソ越峠。本郷にあった解説看板にもしっかりとその名が記されている。
 じっくり地形図を見ると、実に面白い地形だ。車谷にこのウソ越峠のある尾根(釈迦嶺)が大きく張り出していて、ちょうど360度を取り囲むようにして川が流れている。例えて云うなら右手で作ったOKマークの、親指と人差指で挟まれているのがウソ越峠。高倉峠は親指の爪の上に浮かんでいる。道はこのウソ越峠の先まで舗装である。上げた目線の上を行く、谷の向う側の道まで登っては、来た道がはるか下方にある光景を見下ろす、ということを何度も繰り返してウソ越峠着。峠からは背後の徳山側の眺めがよい。行くべき高倉側はまだ尾根に隠れていてはっきりとしない。その尾根を♭+ゆるやかな傾斜で越えれば、そこで舗装は終わり。同時に、本当の高倉峠がさきほどと同じシチュエーションで登場する。…ウソ越峠のことに気付いていなければこれほど涙な光景はあるまい。
 工事個所はその先で、休日だというのに作業をしてはった。例の如くお願いして通してもらい、その先のダートをゆく。峠手前の最後の一登りはしかし、恐れるまでもなかった。谷が大きくて迂回する分、見た目以上に傾斜は緩い。じっくり登っていけば大丈夫。道のピークに至り、やや下りぎみのフラットを200mも行けば、そこが高倉峠。高倉峠もまた大きかった。それほど木が茂っていず、ゆるやかな凹みが露わになっている。風が吹抜け、曇った空が視界の半分以上を占めていた。峠それ自体には何もなかったが、福井側にちょっと下れば、そこに『高倉峠』の碑がある。ここは福井側の展望が素晴しい。さすがに海は見えないが、あの山のすぐ向うが海だと思うとやっぱりわくわくする。こうした「自分の知らない世界との出会い」は、峠越えの醍醐味であると同時に、自分が最も好きなひとときだ。
 峠の福井側で始まる舗装は2kmほどで終わり。勾配は岐阜側よりもきついかと思うような坂なのに地道だ。こっちからは登りたくないな。山の小さな皺をひとつひとつ丁寧になぞっていくワインディングでどんどん標高が下がっていく。ふっと振り返ると小さな谷の対岸に見上げる道。やはりかなりの傾斜であることがわかる。視界が林に消され、尾根に隠れ、滝を越え、杉林が現れ始める頃、ようやく芋ヶ平に到着する。芋ヶ平には既に民家がなくなっているが、水場やトイレなどもあって休憩にちょうどいい。(2000.10.:ながとみ)

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■関連リンク

・国土地理院地形図閲覧システム:高倉峠 
・国土地理院『うぉっ地図』:高倉峠 
・国土交通省空中写真:CCB-75-25-C7-7, 8, 9 / CCB-75-25-C8-7, 8, 9 / CCB-75-25-C9-7, 8, 9 / CCB-75-25-C8-10 / CCB-75-25-C9-10


ウソ越峠
 ウソ越峠。車道が完成する以前もやはりこの峠(釈迦嶺)を越えて高倉峠へ向かっていたようだ。写真は高倉峠側から。(な)

高倉峠全景
 高倉峠を直前から。非常に大きなたるみになっている。道のピークは県境よりも岐阜側。少し下って峠へ着く。(な)

眺め
 高倉峠福井側。本文にもあるように舗装は峠から始まって福井側へ2kmほどまで。晴れていたら眺めが良さそう。(な)


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