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温見峠 (ぬくみとうげ)

【標高】1010m
【行政】福井県大野市〜岐阜県本巣郡根尾村
【経緯度】北緯:35°46′46″/東経:136°31′05″
【水系】九頭竜川水系真名川(雲川)〜揖斐川水系根尾西谷川
【二万五千図】能郷白山:NJ-53-7-6-3 岐阜6号-3
【五万図】能郷白山:NJ-53-7-6 岐阜6号 \ S46編
【旧TM】中部TM P112
【新TM】中部・北陸TML P53 1-C

 国道157号。この付近は完全に山の中。

『・・北からだと、ダラダラしたアプローチで一回尾根を越えるが、かなり長い。そして急に傾斜がきつくなると峠は近い。』[分水嶺ノート:'84・吉沢]
 太平洋側の川にしか住まないというアマゴが峠北の真名川(雲川)に棲息している。山本素石の「渓流物語」によると、大正末期か昭和の初めに、根尾村大河原からこの峠を越えて移植されたのだとか。

■編集者のコメント

 2002年7月、たて続けに通った2つの台風による通行止が解除されないままの峠を南から越してみる(極めて膠着語)。ふもとでは余裕の2車線だった道は、樽見を過ぎた辺りで一挙に狭くなってしまう。すべてがすべてという訳ではないのだが、民家の軒をかすめて走るような狭い道がちらほらと現れ始め、能郷の民家の密集を過ぎると完全に一車線へ。通行止のゲートもそこに待っていた。かなりガッチリ作ってあり、寸分の隙もないゲートである。
 能郷から先、道は完全に山岳道となる。つねづね山岳道という言葉の定義に考察を巡らせていたのだが、ここを山岳道と言わずして何といえばいいのか。右手の谷の深さ、高度感もあるが、一車線の狭道に加えてことごとくのカーブがブラインドになっている点にこの道の凄さがある。しかもそのブラインドの先がどうなっているのか全く予想できないのだ。カックンと曲がっていたり突如upしたりと、上下左右に激しく揺さぶられる道である。ともかく、すべてはゲートの向こうに建っている看板の「落ちたら死ぬ」という一言に凝縮されている。  マクロに見れば能郷〜黒河のあいだに緩く大きなピークがあって、従って黒川へはやや下り気味にたどりつく。黒川のあたりは広い河原になっており、さっきまでの狭く深い谷からは想像だにできない場面転換である。これは何も発電用のダムがあるせいばかりではないようだ。民家はどれも雨戸を閉ざしてつっかえ棒をしているが、そんな中でもまだ住んではる方がいて、こういうがけ崩れの時は大変だろうと思う(が、よく地図を見てみると折越林道経由でここまで来ることができるのだった。そういえばさっきのダムでも車が入って作業してたなあ)。黒河〜大河原はやや緩やか。大河原も人の気配のない家屋が杉木立の中で眠っている。この家屋群の向こうに蝿帽子峠への分岐。その看板もあるし、ミズノ(株)が整備した4WD&MTBコースがあってよく目立つ分岐である。
 ここまでの道すがらには多くのお地蔵様がおられ、さすがは官道などと思っていたのだが、この分岐より上部ではぷっつりとその姿が消えてしまう。もちろん旧道を外れて新道が通っているとは思うが、ほんとにぷっつりと姿を見ることがなくなる。道は勾度をあげて複雑な尾根をトラバースしていく。砂利沢その他の大崩れを越える地点はそこだけ掘り下げたコンクリートになっている。川を制御するのではなく受け流す工法がうまいと思う。もちろん雨の直後は大変だろうけれど。道が大きく北へ張り出す格好のところから、ブナの森を透かして峠が見え始める。あたりは大きな葉を広げたトチ、たわわに実を下げたオニグルミなどの広葉樹が広がる森。そして何よりブナの力強さに目を奪われる。秋に来るとさぞかしきれいであろう。ブナの大木の奥からはカナカナカナカナ・・・とヒグラシの声が途絶えることなく流れてくる。何とも言えない雰囲気である。ちなみにここは裏日本と表日本の境にあるブナ林として保存がなされているそう。
 峠が見え始めてから先には三つの大ヘアピンが待っている。勾配もややきつめ。峠直下にも一つ隠れているが、こいつはまだ緩やかだし、登り切れば目の前に峠が待っている。ごうごうと風の吹き抜ける峠は、強い風のせいか雪の重みでか、あらゆる看板がひしゃげ曲がっていた。凄まじい光景だ。右手の切り通しの上にはお地蔵様の祠。この祠もコンクリートの土台に鉄骨で組んだ頑丈なものであった。中のお地蔵様も少々険しいお顔。
 峠北すぐの所でもコンクリートブロックと鎖でゲート。これは恒久的なものではなさそう。道幅は南側よりもやや広めだが、路面全体が亀甲状に割れているため危なくてスピードが出せない。峠直下のつづら群でほとんどの標高差を消化し、熊河集落の手前から緩やかな道がずっと続く。ただ、地図を良く読んでいなかった私は熊河〜ダムの間にピークがあることに気づかず、アウターで半分程登って鼻タレてしまった。この付近の地形はなかなか面白し。熊河峠としてもいいんじゃないかしらん。(2002.7.:ながとみ)

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■関連リンク

・国土地理院地形図閲覧システム:温見峠 
・国土地理院『うぉっ地図』:温見峠 
・国土交通省空中写真:CCB-77-13-C3A-3, 4, 5, 6 / CCB-75-25-C7-22, 23, 24 / CCB-75-25-C8-23, 24, 25 / CCB-77-13-C4-4, 5, 6, 7 / CCB-77-13-C10-4, 5, 6 / CCB-75-25-C22-10, 11


根尾断層
 高校の教科書でおなじみの根尾の断層。現在はこんな感じで普通の畑にしか見えない。付近には断層保存館もあったが大雨の影響でお休み中だった。(な)

温見峠
 いきなり飛んで峠。全てが変形している。右手の切り通しの上にお地蔵様。みちすがらの様子は実際に行って体験して下さい。(な)

御地蔵様
 ちょっと恐いお顔のお地蔵様。(な)


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