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三本槍岳 | 大峠 | 流石山

大峠 (おおとうげ)

【標高】1460m
【行政】福島県南会津郡下郷町〜栃木県黒磯市
【経緯度】北緯:37°09′11″/東経:139°56′30″
【水系】阿賀野川水系加藤谷川(ニゴリ沢)〜那珂川水系湯川
【二万五千図】那須岳:NJ-54-29-2-1 日光2号-1
【五万図】那須岳:NJ-54-29-2 日光2号 / S54修
【ツーリングマップル】東北 P13 4-B

 流沢山と三本槍岳の間の鞍部。 江戸時代後期の日光大地震で会津西街道が通れなくなり、その代わりとして新たに作られた道(会津中街道)。

■編集者のコメント

 福島側から。国道から8%勾配の道で扇状地に上がり、峠麓までゆるやかに登って行く。この地形は田島町の側から見るとなかなか見事である。十字原を過ぎた道はやや勾配をあげ、上下左右にうねりだす。口留番所のあったという野際新田には現役の茅葺き民家もあり。本格的な登りはここからだ。
 参照した山と高原の地図によれば野際新田の先からダートということだったが、2002年の時点でかなり奥まで舗装化されている。これはずいぶん助かる。古い街道筋はこの舗装より上を通っていたらしく、駒返坂という街道の難所が、日暮滝が対岸に見え始める直前に残っている。ちなみに日暮滝は山腹から突如として滝が迸っているような感じの見事な滝。落差も数十mあって迫力あり。この滝の上部を越えてもなお舗装が続いて、結局雨量計のあたりまで完工していた。ただしその先のダートはけっこうな荒れ具合+坂道となるので、スリックタイヤの自転車にとっては特に辛い。
 峠方向の眺めは林に遮られがちだが、それでも緩やかに大きく削れた鞍部の輪郭が手に取るように見える。この眺めこそが大峠の名前の由来なんだと思う。入ってはいけないはずの大峠林道終点まで入り込んでいるRVの群を横目に登山道へ。
 登山道に入ってすぐ石畳道のはずだったが、石畳という言葉から連想されるような整然とした石組みではなく、どちらかといえばそこらにあった石を並べてみましたというような適当さを感じないでもない。敷かれている石も角ばったものが多く、とても予想の外だったのだが、この道自体が会津街道の中で最も遅く開かれた(=供用期間が短かった)とあっては致し方ないのかも知れぬ。
 石畳を過ぎ、街道の一里塚を越えて道は2手に別れる。一つはつい最近開かれたのが明白な、ネマガリタケの斜面を強引にトラバースする道。もう一方は斜面を下に下っていく。前者をたどっていけば峠下の直登を半分ほどショートカットすることができた。もちろん以前の会津街道は下っていく道のほうだったと思われる。
 峠は下から見えていたそのままの大きなたわみ。その底に幾筋もの道が伸びている。お地蔵様の周囲にはいろいろの花が美しく咲きおれり。ここのような大きな峠は、いい眺めなのだが写真に収めるのは至って困難だ。ほとんどオマケだと思っていたデジカメのムービー機能をフル活用して記録する。
 下り鼻は腰より高い、時には背丈よりも高い篠藪の中。上から下ってくるにはいいが登ると大変そうだ。倒れたダケカンバを越えるあたりからトラバース道に入り、この付近で三斗小屋(温泉ではなく集落跡のほう)へ直接下る道と分岐する。峠を越えた街道はそのまま沢沿いに下って三斗小屋へ向かっていた筈だから、これが街道筋であろう。が、せっかくなので温泉を見に行くことにする。
 峠沢の沢を越えるとひとしきり直登。尾根も谷もほぼ直線でつないでいくため、どうしてもこのようなアップダウンが入ってくる。しかも結構な登り下りである。峠沢〜無名の沢間のピークに聳える大木にはS20〜30年代の落書き。いつの時代にもDQNはいるものだ。無名沢〜赤岩沢はその名の通り大きな赤い岩のそばをへつっての登り下り。赤岩沢を過ぎて木の根を頼りに担ぎ上げれば、ようやく押しで行ける道に。ピークからは乗ることすら可能だが、すぐに三斗小屋温泉と三斗小屋との分岐になる。先に下り道のことを書いておくと、この登山道は温泉の旅館が使っている小形キャタピラ車が登り下りしているような道なので、それなりの自転車であれば乗って下り切ることも不可能ではない。ただし石組み重畳の部分や登山道が川になるのを防ぐための切り欠きもあるので気を抜かないよう。あと、間違ってもDH気分で下ってはいけない。夏や秋は特に登山客・温泉客がいっぱい。え、私ですか? 私はスリックなんでちんたら下り、きっちり山高の時間がかかりましたさ。
 三斗小屋温泉はあの狭い谷合いに立派な木造旅館が2軒、さらにはその別館まである。店が繁盛している時は外来入浴者は拒絶されてしまうので、その気の人は前もって電話しておいたほうがよさそう。私は写真だけ撮って帰ってきた。
 長い長い登山道を下り切ると、大きな沢をまたぐ木造の橋。これを渡れば林道に至り、一度登って下った先が三斗小屋の集落跡だ。今は大きな草原に石灯籠や大日如来像などが点在するだけとなっているが、かつては会津中街道の重要な宿場町であった。以前はもっと荒れていたそうだが、埋もれていたこれらを復元して今に至っている。そんな歴史を語ってくれる解説の看板もあり。ここから下流も林道で楽できるが、本来の道は麦飯坂を登って沼山湿原を経由するものであったそうだ。この分岐には「(左板室|右やま)みち」という道しるべもあり。「右やま」という潔さが何とも言えずよし。(2002.8.:ながとみ)

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■関連リンク

・国土地理院地形図閲覧システム:大峠 
・国土地理院『うぉっ地図』:大峠 
・国土交通省空中写真:CKT-76-1-C1A-33, 34 / CKT-76-1-C18-7, 8, 9 / CKT-76-1-C19-6, 7, 8, 9 / CKT-76-1-C1B-2, 3, 4, 5, 6 / CKT-76-1-C2B-26, 27, 28 / CKT-76-1-C18-10, 11 / CKT-76-1-C2C-1, 2, 3, 4


駒返坂
 駒返坂。あんまり大変そうなので写真だけ。(な)

大峠遠景
 とてもわかりやすい大峠遠景。大峠という名前が会津側からの働きかけによってできたのが明白だ(街道の歴史的にもそうなのだが)。(な)

一里塚
 道すがらにはちゃんと一里塚もあり。ただしこの石碑がなければ気がつかないようなさりげなさでそこに在る。(な)

石畳
 石畳道。のはずなんだけど・・・。(な)

峠道
 峠直下の峠道。(な)

峠
 大峠。ムービーは こちら(2MB。右クリックでバイナリ保存)。(な)

沢渡り
 峠沢を渡る。雨の直後だと大変そう。(な)

三斗小屋温泉
 三斗小屋温泉。正面の大きな建物が大黒屋。(な)

三斗小屋集落跡
 三斗小屋集落跡。大日如来像や石灯篭など。(な)


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