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南向きに峠。峠だってば
ナルい谷の下方に残っていた、本来の峠道。峠道だってば

江浪峠

Enami-pass

DATA
標高:1110m
行政:鳥取県若桜町〜兵庫県千種町
地形図:坂根・姫路9号
TM:関西TM P19 5-C
走行:'98.8.


 この峠に行こうと思ったきっかけは何でもないことであったのだが、得てしてハイテッガーの実存主義哲学が理解できてしまった峠である。

 この峠は北側も南側も完皮なきまでに廃道である。南側の峠道が消滅していることは前年に確認済だったため、峰越峠からの登山道を利用したが、肝心の峠への分岐道が発見できず鈴竹の密生する斜面を転がり降りるはめになった(本当はちゃんと道があるらしいが)。峠のあたりはセオリーどおりよく保存されていて、昭和8年の銘のあるお地蔵様もいらしたりするが、峠の北側で廃道度の真骨頂を味わうことになる。

 こちら側はなだらかな斜面であり、かなり向こうまで見渡せるのであるが、その見渡せる端まで全てが茨の叢である。あるいは足を引っ掛けるためだけに生育しているかのような嫌らしい低さの潅木、丸太が敷かれた道のように見えて実は邪魔な木が切り刻まれて捨てられているだけの沢、そんなものしか存在しない。本当に命が死ぬのを覚悟した。

 本来の峠道はこのなだらかな谷が終わる地点付近、地形図にあるつづら折れのあたりから下が残っている。無論ここも廃道であるが、あの谷に比べれば舗装路並みにマシに見えたことであった。


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