苅安峠

　京都の水無瀬神社と高山をつないだ位山街道の峠である。大して標高がある訳でもないのに随分鼻タレタ峠であった。高山に近い側に石畳の旧道が残っていると知り、無謀にもそこへ突っ込んでしまったのがそもそも悪いのであるが、これでもかという位に腕がつりましたな。石畳道は風情があっていいのであるが、それと自転車で行けるかどうかという話は全く異なる次元の話だ。

　しかもこの石畳道は峠の直前で突然に不明瞭になり、結局現在の車道の峠につながっていく。しんどい思いをして到着した峠は２車線のでっかい舗装＋その脇の一車線であり、その上にさらに新道を建設中であった。そして峠の位山スキー場。風景はみな殺されておった。極めつけは峠の分水であろう。人工的に作られた分水は私をあざ笑うかのように枯れていて、ただの石組みでしかなかった。しかもその水源は水道水ではなかったかと思うのだ。あまりに鼻タレタのでそこそこと退散してしまったのだが、今こうしてそれを後悔しているところだ。