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額に注目

切窓峠

Kirimado-pass

DATA
標高:260m
行政:兵庫県山崎町
地形図:佐用・姫路10号
TM:関西TM P27 5-E
走行:'97.8.


 司馬遼太郎は九州の久七峠の石碑を評して「ヨーロッパの国境にもこれほどのものはない」と書き残している。私は彼にこの峠の石像を見て欲しかった。彼ならこの物体を何と評価したであろうか。

 切窓峠は兵庫県山崎町にある峠である。集落と集落をつなぐ幹線道路の、どこにでもありそうな峠であるが、しかしながらこの峠には「峠の石像」があるのである。写真を見ていただきたい。右側がそれである。

 失礼、左側がその石像である。この石像、写真では少々わかりにくいが、その額に「切窓峠」と刻まれている。しかも赤で。何故石像でありかつデコなのか全くもって謎である。峠の名前を知らしめるならば単なる石碑で必要十分であるはずであり、きっと何かの意図があるものと思うのだが、石像は黙して語らない。さらにこの石像、どこからどう見ても顔が曙関(現曙親方)にそっくりなのである。あとで思い反してみたとき、実際はどうだったか記憶が定かではないのだが、必ずまわし姿のこの石像を脳裏に浮かべてしまうほどに曙関である。そして追い打ちをかけるようなお供えのお賽銭。一体どんなご利益を期待するのか。全てが謎だ。

 つながりがあるかどうかは不明だが、この峠西の旧土万村にまつわる伝説では、松尾神社の男神の許へ佐用の女神が逢い引きをするため通ったのがこの峠であり、その姿を隠すためにいつもここには夜霧がかかっているのだという。話としてはロマンチックなのだが、もしあの石像が男神だとしたら本人が可哀想であろう。


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