本の行政:和歌山県橋本市柱本〜細川標高:300m
|1/25000地形図:岩湧山(和歌山6号‐4)調査:2005年1月、11月


■背景 Background

 本報告書で報告する隧道に固有名称はない.紀見峠の麓,和歌山県橋本市柱本から同細川へ抜けるためのトンネルである.芋谷という谷の上流部にあるため芋谷トンネルとも呼ばれるようだが,地元・柱本では名を付けずにただトンネルと呼んでいる.それでは当方の都合が悪いため,橋本市観光協会の案内看板や,今現在唯一入手できている資料等に倣って「柱本の手堀り隧道」と呼ぶことにする.
 この隧道の特筆すべきは,手堀りであることもさることながら,いかにも手仕事というような独特な石アーチにある.全国には数多くの手堀り隧道───新潟地震で図らずも注目を浴びつつある山古志村の中山隧道,近代土木遺産2000選にも選ばれている福岡の萱切隧道などなど───があるが,石ポータルを持つ人道隧道となると,恐らく唯一であろう.そしてそのArchitectureもまた,一般の隧道とは一線を画するユニークなものである.


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