畑野浦隧道(隧道内部〜蒲江側)


 

 

 

 内部は素堀り+コンクリート吹き付け.中央付近で大きく崩壊して,岩屑が隧道幅いっぱいに堆積している.その奥でも土砂が坑口から流れ込んでいて,深い水溜りを成している.隧道口からは蒲江の青い空が覗いている.

 蒲江町側坑口.同じくコンクリート製である.大変質素な造りだ.銘板は土埃と草に塗れて見得なかったが,少し掃除をすると「道隧浦野畑」の文字が浮かび上がった.よく見れば「畑」の旁の「田」が,以前の阪急梅田の切符のように「口+メ」であった.銘板にはそれ以上のことは書かれていない.概してこの地方の旧隧道の銘板は,隧道名しか書かれていない場合が多い.佐伯市街の北にある佐伯隧道しかり,大宮隧道しかり,そして浅海井隧道しかり.こういうちょっとした所にも地方性があって面白い.きっと製作者は,完成年まで入れるのが「よだきかった」のであろう.

 隧道の左手にはお地蔵様.袈裟を着て,可愛らしい団子鼻をされている.たいへん写実的で地蔵様というよりお坊さんの生き写しのようだ.上から朽木が倒れかかっていて苦しげだったので,銘を見がてらに動かしたら,元通りの位置に収まらなくなってしまった.愚かなことをしたものだ.土台には「せい人(請人?)」と数名の名前.深く埋もれていてそれ以上は読めずじまいであった.
 

 

 

 こちら側も,隧道の直前を大きな沢が割っている.越えれば蒲江の好展望.まっすぐ延びる谷の向こうに海が輝いている.南向きなのでどうしても逆光になってしまうのが惜しい.

 

 

 こちら側の道には何箇所かガードレールがつけられている.佐伯側に劣らない崖道である.トラバース気味に下ると別の道に合流する恰好で分岐.下り方向は左ですぐに解るが,蒲江側から登ってくると少々迷うかも知れない.その場合は下からガードレールが見えているから,これを頼りに右折すればいいだろう.

 隧道真下のカーブから先は林の中.思ったより長い道のりである.同じような光景と同じようなカーブを繰返しながら下る.町の葬祭場を過ぎれば2車線舗装.海とほとんど同じ高さになったところで,現国道と合流する.


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