浅又谷の奥まで道は詰めたのち、くるっと一転して対岸を登りはじめる[写真]。現在はここも奇麗な舗装であるが、97年の当初はこのあたりから地道が始まっていた。対岸の道は下から見上げてもわかるように、距離の割にはずいぶん標高差の高い道である。古い地形図ではこのあたりから谷の斜面を折り返して登る形となっている。実際はこのまま直進し、尾根を一つ迂回して隣の谷へ入って行く形となる[写真]。今は舗装化されてわからなくなってしまったが、97年にはその改修地点(右写真)があった。不自然に隆起した道の左手にはその旧い道が見えていたのである。恐らくこの付近でちょうど崖崩れし、その土砂の上を越えて道を付け替えたものだと思う。このあたりは特に土砂崩れの傷跡が多く、下から見ると補修個所がいくらでもある。逆に言えばこの道はそれだけ切り立った崖の上にある、ということである[写真:谷を見下ろす(1999)]。

 

 


 
 
 その尾根の尖端、カーブの内側には、先の付け替え工事の記録であろうか、「ホハレ林道」のプレートがつけられている。この尾根の向こうが「新」ホハレ峠のある谷となる(左写真、1997)。正面右奥にそれはあるのだが、付近の嶺は小さなコルが連続する地形であって、下から判別することは難しい。

 



 

 道は谷の奥で一回りし、高度を稼ぐ[写真:(1997)]。このあたりにある水場が最も峠に近い水場であり、これ以降峠までは水場がない。そうしてさっき来た道の上を走っていく。このあたりから徐々に展望が良くなり、意外に登っていることを知らされる。正面の緑の斜面にはひっかき傷のような新ホハレ峠への道が見える[写真:(1999)]。2000年の時点では、ここで舗装とお別れということになる。

 さきほど林道のプレートがあった上部でまた尾根を越す。すぐ先に分岐らしきものがある。これがさきほど述べた古い地形図の道である。今は草が覆っていて辿れそうもない。本道はこの分岐から先、わずかながらスカイラインダートとなる。
 尾根筋道を抜けると峠はすぐそこである。そこへ至る分岐は至ってはっきりしている(右写真・1997)。しかし。

 


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