水分峠

■調査 Experiment


 

 大分市側から見た場合,旧210号は湯布院の大盆地に入る直前で分岐する.写真の川西橋を渡って右岸に移り,そこから槐木(ニガキ)集落を経て水分峠へ向かう.現在はこのルートが県道11号になっている.

 

  

  

  

 川西には「旧日野医院」という旧蹟あり.県下最古の洋風建築とされる建物である.市街から遠く離れたこの地だからこそ残ったのであろう.なお日野家の家紋は竹に雀.その家紋の通り,集落前後は竹林に囲まれた静寂の道である.


 小さなヘアピンに押し込められたような槐木の集落を過ぎれば,杉桧の林の中を苔蒸したアスファルトで登っていくようになる.勾配はずっと緩やかなままで,山間いの道ではあるがそれほど厳しさを感じさせない.山側には質素な石垣.峠まで何度も同じような石垣を目にするが,しっかり作ってあるような手抜きのような,どこか人の匂いのする石垣である.大分県人の「よだきい」が現れていると思うのは,ちょっと考えすぎかも知れない.

  

 峠道はこれといった見所がないままピークへ.自動車道をまたぐ橋のあたりから,峠のレストハウスが見えてくる.国道210号の水分隧道とドライブインとの間に出て来て,束の間の静寂はおしまい.現国道の煩瑣を避けるためならば,おすすめしたいルートである.



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