|行政:三重県美里村〜大山田村標高: 峠/330m,旧隧道/280m
|1/25000地形図:平松( 9号-2)調査:2002年6月,2004年7月


■背景 Background

 長野峠はかつて伊賀街道と呼ばれ,津と伊賀上野を結んだ.現在は国道163号がその下を越える.トンネルの名前は長野隧道という.この両者の時間的な隔たりの間に「旧」長野隧道が存在したことを知る人は少ない.かくいう報告者もその事実を知らずに長野峠に登り長野隧道を抜けている.あまつさえ周囲の調査をし,旧峠に足を延ばしているにもかかわらず,である.

 報告者に旧長野隧道の存在を教えてくれたのは一冊の本だ.それは日本土木学会が発行した「日本の近代土木遺産 現存する重要な土木構造物2000選」.このなかで「長野隧道」は国内に現存する石隧道のなかでも3番目に古いものとされていた.報告者の知る長野隧道は,昭和10年完成の,古いコンクリート製のトンネルであった.ということは,峠周辺にもう一つの長野隧道が存在するはずだ.しかも,(廃)の.

 旧道倶樂部を標榜するからには,見過ごすことのできない過失ではないか.そう思い,2年後の夏に再調査を行なった.再調査にあたっては地形図を確認したが,旧道らしき道の記載はなく,現地で旧道旧隧道を探すほかない.標高が低いことと,道が記されていないという事実から,旧隧道は現隧道の付近にあると見て,この周辺を重点的に調査することとした.


→Next

 

総覧へ戻る