国道8号旧道(大谷隧道群旧道)

■調査 Experiment

 さて.ここから不毛な戦いが始まる.目の前には大谷第5トンネル.延長227.5m.その脇の海岸沿いをゆく廃道.旧道倶樂部は当然,後者を行かなければならない.

 大谷第5トンネルの竣工は昭和62年.それ以前の国道はこの崖道であった.第5トンネルのシェードの手前に広場があり,旧道はそこから分岐している.海に落ちてゆく尾根の先までは轍が残っていたが,そこから先で道が崩れてナタが登場する.

 

 

 上から崩れてきているタイプなのでまだ楽だが,茂る草木は国道復帰まであと10mという区間が最も深い.もし下手をして海側に転んだりしたら.その顛末は想像に難くない.

 

 

 第4トンネル・196m.国道からの分岐すらない.当然,始めから廃道である.人の胴くらいの大きな岩が折り重なって崩落していて,振り返れば道とは思えない光景である.崖側が杉の林になっている箇所はまだ良いが,基本的に日当たりが良すぎる南西向きの斜面であり雑草の天国だ.そのかわり,行程が残り半分となったところで車道に切り替わる.ここにも墓があって,その前から国道にかけては車道巾だ.

 

 

 第3トンネル・310m.ここも旧道と新道とは交わっていない.ガードレールを乗り越えて草の海に突入する.ここは目前に赤い建物が見えているから気は楽だ.この建物は河野の簡易水道施設であって,ここから振り返る敦賀湾が殊の他美しい.遮るものがなく,湾全体を見晴らすことができる.敦賀からの道のりも振り返ることができる.

 

 

 

 

 最後の第2トンネル・340mは,距離は長いが一番楽.すべて車道である.これを抜ければ河野の道の駅がすぐそこだ.

 


 

 


 しかし待てよ,大谷第1はどこへ行った? と思っていたら,彼は逆に海側をバイパスされて廃道となっていた.しかも鉄条網付きの金網でがっちりである.あなあわれ,である.
 なおこのトンネル群は,国土交通省の看板でこそ「トンネル」だが,銘板ではすべて「隧道」だ.昭和62〜63年竣工で隧道と名乗るのは珍しい例と言えるかも知れない.


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