行政:和歌山県広川町滝原 標高: 120m
| 1/25000地形図:高家(和歌山阜13号-1) 調査:2006年10月


■背景 Background


 「ポータル:C表面に唐草風浮彫り、カラータイルで囲まれた扁額」という白木隧道を見に行くつもりで,報告者は和歌山県広川町に趣いた.2006年10月半ばのことだ.しかしながら目当てのその隧道はもう6年も前に改修済みで,ただのコンクリート隧道になり果てていたのを見せつけられただけだった.そのかわりに出会ったのが,本稿で報告する瀧原洞だった.

 現地に向かう電車の中で,報告者は暇潰しに地形図を見ていた.付近には由良洞や鹿瀬洞といった明治隧道がある.こうした「先例」があるのだから,影響を受けて作られた古隧道が,まだあるのではないか.人に知られていないだけで.そんなことを思いながら地図を眺めていた報告者,目ざとく見つけたのが,滝原ダムへ向かう途中にある隧道だった.

 国道42号から数キロ離れた山奥の小邑・滝原に入る直前に,5.5m幅以上の道を示す二重線のトンネルがある.ぱっと見ではそれ一本しかなさそうだが,よくよく見るとその脇を破線道が通っている.ほとんど重なり合わんばかりの二つの線には確かにトンネル記号.峰越え道ではない.隧道だ.

 破線道幅の隧道という所に何かがありそうな気がした.そうして白木隧道の成れの果てを確かめた瞬間に,きっと踵を返して滝原へ向かったのだった.



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