|行政:大分県佐伯市〜米水津村標高:150m
1/25000地形図:佐伯(大分3号-1)調査:2005年1月


■背景 Background

 お国自慢という訳ではないが,報告者の生まれた大分県は変化に富んだ地形の国である.大分市街のような広い平野もあれば,久住山に代表される山岳地帯あり,かつ国東みたように海に突き出す孤峰の半島もある.海に向かってなだらかに開けた別府の段丘があるかと思うと,県の南部には─三陸海岸には遠く及ばないけれども─リアス式の海岸さえある.
 とはいえ報告者は県西部の山の中の生まれ.海岸線の町や村のことは,実はよく知らない.中学生の頃に県内一周旅行をした時も,南は佐伯までだった.そこから北上して津久見臼杵の海岸線の登ったり下ったりに泣かされたくらいだから,それより厳しい以南のことなど想像もつかなかった.もっと正直に言えば,二度と行くまいと思っていた.
 そんな県南に,浦代隧道という廃隧道があることを,みなみ氏の「旧道方面」で教わった.南部の中核都市・佐伯市と,その南に面する入り江の村・米水津村とを結んだ隧道である.竣工は明治43年.そして,そこまでの道は廃道同然という.
 そうなると俄然,興味が湧いてくる.居ても立ってもいられなくなる.現金なものである.



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