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深坂越 (ふかさかごえ)

【標高】370m
【行政】福井県敦賀町〜滋賀県伊香郡西浅井町
【経緯度】北緯:35°34′54″/東経:136°06′49″
【水系】笙の川水系五位川〜淀川水系余大川
【二万五千図】駄口:NI-53-7-15-4 岐阜15号-4
【五万図】敦賀:NI-53-7-15 岐阜15号 \ S53修
【ツーリングマップル】関西 P16 1-B

 このあたり出身の方から訂正をいただいたが「ふかさか」と読むのが正しいそうだ。

「国道から1キロばかりでで、松の森陰に深坂地蔵堂がある。巨石を配した泉水、小さな滝のある庭園があり、涼しい樹陰に休憩所もある。お堂には2メートル位のずんぐりと、だるまのように太ったぶかっこうなお地蔵さんがいる。庶民の信仰を集め、全身塩で埋っている。生活に欠かせない大切な塩が運ばれてくるこの峠のお地蔵さんなればこそ、信者は塩づけにするのだ。ショッパイ顔して何枚もよだれかけをしている。天井から千羽鶴が下がり、何十枚というよだれかけが奉納されている。一名堀止地蔵ともいう。その由来は
「平重盛がびわ湖から敦賀まで運河を通そうと計画した。塩津から工事を始め、ここまで来たが巨石にはばまれ、遂にあきらめることになった。後の世の人が再び掘るかも知れないが、とうてい切り開く方法がないとの理由を石に彫って埋め、目印としてまつったのだ」という。」(「近江の峠」:p36)

編集者のコメント

 国道8号のピークからほんの少し下った地点にある「←深坂地蔵 1.1km」の看板が目印。民家の脇を抜けた向うには広い谷が広がっており、その奥へと道は続く。これがかつての塩津街道であり、現在は中部北陸自然歩道の一部である。やがて舗装は途切れ、かわりに砂利道になる。旧い塩津街道であると同時に深坂地蔵の参詣道にもなっているのだ。整備が行き届いた、昔そのままの山道であった。一度下ったあとは地蔵堂まで飛び飛びの石段。この日地蔵堂まで来ると、意外にもポクポクポクと木魚の音が聞こえてきた。お坊さんかどなたかが読経してはったのだ。うーむ、勤行の邪魔をしてはいかんと思い、静かにその先へと足を進める。
 峠へはこの地蔵堂からまだ少しある。あまり踏み跡のない草地を押し上げていく。所どころに丸太が敷かれていて目印にはなるが、その度に「よっこいしょ」を繰り返さなければならない。登りついた先は林道であった。でも一体どこから繋がっているのだろう?と思っているうちに峠に到着。

 峠は両側から山が迫っていて、崖にあいた隙間といった感じ。そこを幅広の山道が抜けている。峠から向うを見ると、やはり落葉が敷き詰まった気持ち良さそうな道が見える。来てよかったなと思える瞬間である。解説看板を読んだりして少し休んだあと、さっそく下る。

 予想以上に道はしっかりしていた。荷物があっても楽だったのだが、荷物なしなら100%乗車できるだろう。滑りやすい岩も邪魔な倒木もない。ただ沢にかかる丸太橋だけはタイヤが挟まりそうで乗っていけない。それ以前に、ここはMTBでかっとばすような雰囲気の道ではなく、じっくりゆっくり、できれば押して歩きながら、味わっていきたいところだ。徐々に高度を下げていくと、この峠道(塩津山)を読んだ万葉歌や紫式部の歌などが解説された看板がある。その頃からこの塩津街道は使われていたのかと思うと感慨深い。(史実かどうかは知らないが)紫式部が文句タレタ道を、荷物満載の自転車が下る。考えただけで愉快。

 下まで下り切ってしまうと、入り口にも解説看板。昔の道は若狭からここ追分まで来て、塩津へ向かう道がこの深坂越、海津へ抜けるのが今の国境経由の道であったそうだ。云われてみれば当然なのだけれど。明治になるまで何度も補修を受けながら使われてきたが、時代が改まるにつれて大量運送の必要が生じ、そして新道野経由の道が作られて、塩津街道は名実ともに彼にとって替わられたのだった。(2000.10.:ながとみ)

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■関連リンク

・国土地理院地形図閲覧システム:深坂越に相当する2.5万図
・国土地理院『うぉっ地図』:深坂越
・国土交通省空中写真:CCB-75-24-C28-25, 26, 27 / CCB-75-24-C29B-8, 9, 10


深坂峠道
 国道からの分岐の先、民家を過ぎるとこのような道に。深坂地蔵への参詣道にもなっているので、自転車はちょっと場違いかも知れぬ。(な)

深坂峠
 峠を滋賀側から。(な)

深坂峠道 深坂峠道
 峠から深坂への下りはずっとこんな感じの山道となる。落葉の絨毯がどこまでも続く。(な)


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