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豪士峠 (ごうしとうげ)

【標高】970m
【行政】山形県東置賜郡高畠町〜福島県福島市
【経緯度】北緯:37°56′19″/東経:140°16′43″
【水系】最上川水系砂川〜阿武隈川水系中ノ沢川
【二万五千図】稲子:NJ-54-22-9-3 福島9号-3
【五万図】関:NJ-54-22-9 福島9号 \ S49編
【ツーリングマップル】東北 P34 6-A

 豪士山の山頂付近を越えて福島へ至る峠道。江戸時代には茂庭街道という名前で呼ばれ、亀岡文殊への参詣道として、また監視が厳しかった板谷・二井宿街道の抜け荷が越えた道として賑わったらしい。

■編集者のコメント

 西側から挑戦。県道1号から和田へ向かう道をずっと登っていけば、そのまま峠下の林道へつながる。もう少し迷うかと思っていたがこれは杞憂であった。後で聞いた話によれば、この道のいちばん奥にある家が、江戸時代には口留番所の役割をしていたという二宮家であるそう。地形図で実線道となるあたりで地道となり、砂川に沿って東進。やや南に曲がりかけるところで大きな砂防ダムがある。その先、何かの作業小屋があり、その前を別の林道が枝分かれして登って行く。これが本宮川のある谷だ。その先すぐの所にもう一つ分岐があり、ここには立派な看板で「中ノ沢登山口」という看板(のちに現れる地図看板によれば中ノ沢峠という峠を越えて柳沢へ下っている)。この分岐の反対側、杉林の中には石灯籠と山神社の碑がひっそりと建っている。やや離れたところには道しるべも。これに刻まれた文字は「左もにわ 右山」で、上のほうには欠けた「高」の文字も見える。これは意外な発見だ。この碑が全面的に正しいとすれば、地形図にある豪士峠越えよりも無名の中ノ沢峠越えのほうが主要な道であったということになるから。
 豪士峠へもしっかりと案内板あり。取り付きは地形図の通りジグザグの直登だが、尾根のやや下を通って上部で尾根に至るものではなく、いきなり尾根にとりついてその最も鋭い部分を直登していく。そうして・649の小ピークまで登り上げるのだ。このピーク付近は岩が露出して低い黒松がまばらに生えており、谷の展望がなかなか良い。
 ここからしばし尾根沿いのフラット道。思った以上に道幅があるのと木の露根や岩が少ないため、自転車に乗って登っていけるほどだ。赤松が茂る尾根を過ぎるとまたややきつくなる。下りなら乗っていけないこともなかろうが、ここは押し担ぎ。これを登りきってしまえばまたフラットになるので、それまでの辛抱だ。
 このフラットな部分は山の斜面にあるのだが、道が細ったりすることも木根の踏み分けもなく、逆にそれを感じさせないようなよく踏み固められた堀切道もあって、さすがは街道の間道と思わされる。普通の生活道や登山道だったらこうはいくまい。もうちょっとマイナーな観点から言うならば、轍Pro.が取り上げるだけのことはある。幅深さともに1mはありそうなその道を過ぎ、ブナとミズナラの森を30分ほど進むと、やがて右手の谷が狭まってきて、沢音も耳に入り始める。この沢に至るあたりからはさすがに道幅が狭くなり、峠までのきついつづら上げに。3度ほどつづらを折ってやや長いスパン、その先から日が当たる斜面となり雑草も茂り始める。少々厄介な藪だが、その雑草に混じってトラノオ、ピンク色のサクラソウ、淡い紫のフクロソウも咲いていたりして。沢に最も接近して水が手に取れるようになってから最後の登り上げ。直登に近い厳しさで、左手に山を見上げ、右手に真っ白な霧を見ながら歩みを進める。霧がなかったらさぞかし眺めがいいだろうなあと思うくらいに右手一面が真っ白になる頃、峠着。
 青々としたモミジのトンネルを抜けると、ピークよりちょっとだけ下がったところに立派な豪士峠の木柱。豪士山の会によるもので、やはり登山客の足で命を保っているようだ。北東から南東にかけてなだらかに開けた斜面はネマガリタケや灌木の類でぎっしり埋まっている。
 この木柱があるのは北へ尾根沿いに向かう道と豪士山への道との分岐点にあたる。左に分岐をとって福島側へ下る予定だったのだが、それはネマガリダケと灌木の海に埋もれて廃道となっていた。ずっと尾根道が続くことを考えると、これが丸ごと廃道になっている可能性も高く、もしそうだとしたら日が落ちる前に抜け出すことすら覚束ない。自分もそこまでする気力がないので、あきらめて豪士山に登った後、中ノ沢峠経由で戻ったのだった。縦走道と中ノ沢峠については別頁で。(2002.8.:ながとみ)

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■関連リンク

・国土地理院地形図閲覧システム:豪士峠
・国土地理院『うぉっ地図』:豪士峠 峠名非出
・国土交通省空中写真:CTO-76-23-C6-6, 7, 8 / CTO-76-23-C7-6, 7, 8, 9


山神社
 ふもとの山神社。道標はちょっと離れたところに。(な)

取り付き
 西側の峠道とりつき。かなり厳しいつづら道。(な)

小ピーク
 つづらを上がった地点より。眺めよし。(な)

取り付き
 案外しっかりとした道幅の残っている峠道。(な)

すずらんかしらん
 峠や峠道には花美しく咲きおれり。(な)

峠
 地形図で豪士峠のある地点。豪士山の会の手による標識もあり。(な)

分水嶺
 分水界となるモミジのトンネル。秋はきっときれいだろう。(な)


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