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板谷峠 (いたやとうげ)

【標高】750m
【行政】山形県米沢市
【経緯度】北緯:37°48′34″/東経:140°15′04″
【水系】最上川水系羽黒川(支川?)〜阿武隈川水系前川
【二万五千図】板谷:NJ-54-22-10-3 福島10号-3
【五万図】福島:NJ-54-22-10 福島10号 \ S52修
【ツーリングマップル】東北 P28 3-H

 すぐそばにJR奥羽本線の『峠』駅がある。日本百名峠。この峠を越えた板谷街道は、古くは戦国期、伊達氏が領内の基幹道路として整備した道である。のち江戸時代には米沢藩上杉氏の領地となり、やはり藩内の連絡道として利用された。上杉氏所領が縮小され、今の米沢市周辺となったのちも、米沢藩単独の参勤道路として利用されている。ただ、もともと険阻な道であったためにそれ以上の発展は見られず、明治に入って山形県令三島道庸により万世大路と栗子トンネルが作られ、古い峠道は廃れていった。これはのちに気づいたことであるが、地形図上での板谷峠は板谷から峠駅へ向かう道のピークであり、こちらが旧街道の峠でもあったようだ。その北にあって米沢へつながる車道は後に作られたもののよう。なお、国道13号から板谷駅へ向かう道は東西栗子トンネルを建設する際の資材運搬路として作られたもの。かつての街道筋は奥羽本線が通っている筋とほとんど一致し、麓の庭坂から山中にあった李平宿を経て板谷へ向かうものであったそうで、今でもその道筋をたどれるようだ。

■編集者のコメント

 板谷の集落は、なんていうかこう、採石場の錆びた工場が町の寂れを際だたせて、板谷そのものの雰囲気を大きく規定している。異様というほどではないのだが荒涼というか何というか。中心部を登り、谷いっぱいに詰まった板谷駅を高架で越える。この先のカーブ群はどれもかなりの勾配でしかも狭い道。パッチワークのごときつぎはぎだらけの1車線をぐるぐるぐんぐんと登らされる。大籏山の茶屋が最後の建物で、ここには自販機もあり。
 馬場平の奥には赤穂藩浅野家家老の大野九郎兵衛を供養する塔がある。赤穂浪士の討ち入りの際、もし浪士たちが吉良上野介を討ち取り損ねた場合、米沢にいる長男の上杉綱憲のもとへこの街道を通って逃げることが予想されていた。そこで本部隊とは別にこの地に第二陣を張ったが、吉良邸にて本懐を遂げたとの知らせを受け、陣を張っていた大野九郎兵衛はこの地で切腹し後を追ったという。またこの馬場平にさしかかる直前には石畳道も残っているようだが、あまりに草ぼうぼうだったので私はパス。あとで考えるともったいない気もしないでもないが、登ってる最中はねえ、やっぱりねえ。
 滑川、姥川両温泉へはちゃんと分岐看板あり。米沢へ抜ける道が板谷峠だと思って進む。この分岐の先の斜面は雑木を伐採済で、とても見通しが効く。その緩斜面を、以前の車馬道をそのまま舗装にしてみました的なきつめの勾配の道がずばっと通っている。そんなとってつけたような道のまま峠へ。あれっ、ダートちゃうのん? という声が聞こえそうだが、確かにあることはあるのだが100mほどで終わってしまう上、風化しかけた舗装と同じような細砂利で区別がつきにくいのだ。つまりは舗装もダートも一緒であって、取り立てて書くほどのものでもない。峠にはこれといったものはなく、どこまでも寂しい峠である。西への下りもさらに寂しさ募る1〜1.5車線。断続的に砂利道も現れ、この山塊の向こう、道の先に、本当に米沢市があるんだろうかと不安になってしまう。自販機・店ともに市街に出るまで一切なし。地形図上の板谷峠もやはり何もない峠である。(2002.8.:ながとみ)

■みなさんのコメント

吉永敬さん:

02/10/27にMTBで走りました。板谷峠は米沢街道の峠で、福島と米沢を結ぶ街道のピークだったようです。福島市の庭坂から黄金坂を登って富山の集落を過ぎ、しばらくすると舗装が切れます。ここからはしばらくダートです。ダートになった辺りの右側に、水場があり水神様が祀られています。
吾妻高原牧場への分岐を右に分け高圧線の下をくぐると、左への分岐があります。板谷峠へは分岐を左へ入り、ダートを下ります。途中、李平の宿場跡やお不動さんがあります。そのままダートを県境まで下ってもいいのですが、途中、旧米沢街道石畳の標識があり、林道から右に旧街道跡が下っています。MTBで乗れる部分も多かったです。旧街道は沢沿いになり、荒れた林道に出ますが、これを左に登って行くと、元の県境まで下るダートに合流します(合流点では右折)。地形図では破線路ですが、県境の蟹ヶ沢まで林道が下っています(最後は路面が粘土でぐちゃぐちゃですが)。
県境の蟹ヶ沢には橋がないので、浅いところをじゃぶじゃぶ渡るか、岩の上を適当に渡れば、山形県へ入れます。雨の後など水量の多い時は危険だと思います。山形県側も川原まで林道が降りてきているので、これを登って行くと高野原の辺りから舗装になり、板谷集落に着きます。
板谷から板谷峠への舗装路の途中にも、旧羽州街道石畳の看板があり、これを入ると、最初は木の枝がうっとうしいのですが、後半は乗れるようになります。再び舗装路に出ます。それにしても板谷峠自身は、何もない殺風景な峠ですね。 (2003.04.30.)

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■関連リンク

・三上 昭さんの峠行の記録
・国土地理院地形図閲覧システム:板谷峠 
・国土地理院『うぉっ地図』:板谷峠 国土地理院地形図閲覧システムによればココ
・国土交通省空中写真:CTO-76-23-C11-17, 18, 19 / CTO-76-23-C12-17, 18, 19


板谷峠道・板谷側
 板谷側の峠道。何でもない一枚だが峠道全体の雰囲気をよく表していると思う。(な)

大野九郎兵衛碑
 馬場平から歩いて10分ほどのところにある大野九郎兵衛追悼碑。墓という形式ではなく、表面に「南無阿弥陀仏」とだけ彫られている。そういえば似たような碑が板谷にもあったなあ。(な)

分岐より上
 見通しのいい峠直下の峠道。来た道を振り返ってみる。(な)

峠手前
 あの坂を登り切れば峠・・・。

峠
 その峠には何もなし。(な)

峠
 本来の板谷峠は温泉と峠駅へ向かう道のピーク。現在はもちろん峠駅から下へ下ることはできない(登山道はあるかも知れないが・・・)。(な)


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