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首切林道(仮称)


 合宿のようである。森の中の林道で地図確認のためストップしている。自分はCLではないが上回生らしい。現実には一度も一緒に走ったことのないO倉氏が、4サイドの自転車で喘ぎながらやってくる。

 峠はもうすぐのはず。そしてその次に登るべき峠は、自分は何度か行っている(ここらへんに来るときには必ず登っている)峠である。今いる林道からは、いったん下ってまた登り直さなければならない。
 が、自分はこの林道から峠へショートカットできる道を知っている。登山道だが距離は短く、まあ何とかなるであろう。それにそちらのほうが面白そうではないか。そういって、その道へ案内すべく先頭になって下っていく。(峠の場面は省略されている)

 地道の下りの途中。右手に展望の開ける大きな左カーブ。このへんかなあと思っていると、そのカーブのふくらんだところにある広場で処刑が行われている。そう。処刑である。
 漫画に出てくる処刑場面のごとく、杭に縛られた男が2人。執行人はKKK団のような黒ずくめの尖った覆面をしている。何故か神父もいて、被処刑人に対する最後の説法を終えたらしく、振り向いて場を立ち去ろうとしている瞬間である。その場面に、私は居合わせてしまう。

 

  神父が後ろを振り向くが早いか、黒頭巾の男は被処刑人の首を刎ねる。偃月刀と日本刀の合いの子のような、細く丸く湾曲した刃物で、首を上に跳ね上げるようになで切る。得てして首は弧を描いて宙を飛ぶ。その一連のシーンを、自転車で下りながら見てしまう。実時間にしてわずか数秒。後続の班員は見ただろうか。見たのだろう。追って来ないだろうか。心臓は瀑瀑と鳴り続けている。そら恐ろしくなって、何ごともなかったかのように下り続けてしまう。


 おかげで、目的のショートカット道を見過ごして麓まで下ってしまった。また登り直さねばならない。


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