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陸橋隧道(仮称)


 長い物語の断片。自分は廃道となった隧道の調査をしている。現実の崩野峠のごとく上には何もない隧道である。が、結構な長さがある上に内部が崩壊している。従って、自分はその上部を越えなければならない。

 上にあがってみるとそこは草の海。隧道の「縁」に相当する部分だけがむき出しのコンクリートであり、それ以外は土が敷かれ雑草雑木が繁茂している。自分は向かって右手のその縁に沿って進むことにする。

 当然といえば当然だが、「廃道度」はいわゆる廃道にも負けず劣らず。何でこんな馬鹿なことをしているんだろうという自己批判のさなか、沿って進んでいたコンクリート塊にプレートがつけられているのを発見する。青黒く錆びたそれは青銅製。埋め込まれているのではなく、寝かせた三角柱として突き出している姿はある種のメニュー立てを連想させる。しかもコンクリート塊に対して斜めに傾いでいる。取って付けたような雑さだが、プレートそのものはかなり古びておりその点では風格ありと言えなくもない。そして、肝心の銘は「第一◯◯◯◯こ線橋」。
 自分はここで混乱する。隧道なのか橋なのか。だが隧道は鞍部直下を抜くものではなく、肩をかすめる形(?)で、いわばロックシェードのようなものであった。縁のコンクリート塊の向こう側を見ると、そこは確かに線路。なるほど、跨線橋を兼ねた隧道なのか。

 ・・・と納得してみたものの。


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