|行政:京都府瑞穂町 標高:370m
|1/25000地形図:菟原(京都及大阪9号‐4) 調査:2001年8月


■調査 Experiment

瑞穂町の中心部で国道9号と交差したのち,173号は綾部に向ってひた走る.町の中心部をつないでいく9号に比べ,173号は遠慮気味に端を翳めていくような印象だ.それでも随所に見られる旧道は,早く開けた9号の機能に追いつけ追いこせとばかりに改修が加えられていったことを如実に物語っている.そういう忘れ形見を拾って歩くのもまた楽しい.例えばこの榎峠周辺のような.

 京都府下で唯一という質志鍾乳洞のある質志集落.新道は集落よりも低い位置をトンネル目指してまっしぐらに走っていく.その一方で集落のまんまん中を貫いている旧道.いかにも「この集落は私が作りあげたのだ」といった感じがして頼もしい.さほど大きな旧家は残っていないような感じだが,それでも新旧の対比が鮮明に出ている.

 峠への道は1.5車線以下の幅の鋪装.勾配は単調で,のんびり登っても15分ほどである.山の一角に開いた峠には(当時)cellularの電波中継塔が聳えており,これは西から登った時によい目印となる.西側は一直線に見渡せる谷である.



 西側麓の集落まで下りつき,川合川をまたげば,そこには大きな建設省看板.173号の記号がしっかり刻まれている.あとは200mほどで再び喧躁の道へ.


 峠は以上で終わり.少し物足りない感がしないでもないゆえ,Additionalな情報として,旧三和町との境近くに旧道の破片があることを記しておく.これは片側(上流側)が固定ガードレールで塞がれており,区間は完ぴ無きまでに廃道である.この旧道の川下側出口はほぼ直角のカーブとなっており,それを幾分か緩和するために現在の位置へ新道ができたのだろう.ほんのわずかの距離ではあるが,安全と時間短縮を計る設計者の執念みたようなものを,報告者は感じたことであった.


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