|行政:滋賀県彦根市標高: 120m
|1/25000地形図:彦根東部(名古屋9号-3)調査:2005年2月


■背景 Background

 「滋賀県土木百年年表」を読む限り,村田鶴の設計であることが確認できる最も古い隧道が佐和山隧道である.彦根市の北東部に横たわる佐和山の山塊を抜ける隧道だ.年表によれば「延長230.0m,巾4.5m,高7.5m,工費13万756 円」その他とある.
 ただしこの隧道,「滋賀県の近代化遺産調査報告書」には収録されていない.文献等によるピックアップを行った第一次調査のリストにも収録されていない.それは自動的に「近代土木遺産2000選」にも含まれていないことを意味する.廃虚ですら載っているこれらのリストに記載されていなかったという事実と,現国道にほぼ同規模のトンネルがあることから,旧隧道は取り壊されて拡張されたものだろうと思っていた.

 だが.偶々古本屋で古地図を探していた時,昭和7年鉄道補入の陸測図・彦根東部を見付けた.何かの参考になるかと思って購入し,家に帰って現在の地形図と比較してみると・・・以下のようだったのである.


陸地測量部1:50,000図/彦根東部
(昭和7年鉄道補入)

国土地理院地形図閲覧システム
1:25,000図/彦根東部(南西)※

※縮尺は報告者が任意に変更

 陸測図に記された隧道は,現国道の隧道のわずかに北にある.ということは,失われたと思っていた佐和山隧道が,現存している可能性があるということだ.

 そうして事実───ここに報告書があることからもお判りのように───佐和山隧道は現存した.


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