■背景 Background

　兵庫県道86号，中町と丹波市（旧丹南町）の境にある廃隧道．旧道界隈では知らぬもののない「ORRの道路調査報告書」で取り上げられているほか，地元兵庫では心霊スポットの一つとしても知られているらしく，多くの好奇の目にさらされている隧道といえる．かくいう報告者も，へなり氏のサイトを拝見してこの隧道の存在を知り戦慄した一人である．
　しかし，当報告書の報告者はまた違った角度から興味を抱いた．聞けば隧道は煉瓦巻きであり，明治の後期に竣工したという．近くには明治中期に建てられた鐘ヶ坂隧道がある．両者を隔てること約30年，煉瓦隧道の建設技術はどう変わったのか．ともすれば鐘ヶ坂隧道───そしてほぼ同時期に作られた池田隧道───に見られた「煉瓦アーチの接続面」の謎を解く手掛かりがあるのではないか．

　残念ながら，内部構造を詳しく記した情報はweb上に見つからず．それ以上のことを調べようとするならば，当然，自ら赴いて，隧道内部に入らなければならない．

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