新和歌浦第一・第二隧道

■背景 Background

 和歌山県には変わった隧道が多い.戦前,特に明治期に作られたものは全国に通用する「際物」ばかりが揃っている.切り込み接ぎの石ポータル・柱本の手掘り隧道然り,扁額まで総煉瓦作りの隧道・旧池田隧道然り.そして今回調査した「新和歌浦第一隧道」も,そんな奇抜な明治隧道の一つである.竣工は明治45年.「近代土木遺産2000選」の付帯情報覧には次のように記されている.

「笠石上に小破風(丸に十字の紋),笠石下に雁木,黒タイルや巨大な楔石など極めて装飾的だが統一感に欠ける」

 和歌山なのに何故丸十字?だとか煉瓦隧道にタイル張り?など突っ込み所は満載だ.そして何より,「第一」というからには第二・第三があるはず.事実,事前調査で第二隧道が作られており,現存することがわかった.丸十字の由来も判明.ネタは揃った,ということで,新和歌浦に向かう.


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