|行政:佐賀県多久市〜杵島郡北方町標高:140m
|1/25000地形図:武雄(熊本13号-3)調査:2004年12月


■背景 Background

 佐賀県西部.多久市と北方町が接する標高200m前後の峰には,わずか1km四方の断面積を5本ものトンネルが抜けている.長崎自動車道の上下2本のトンネル,県道24号・武雄多久線のトンネルに,旧県道の馬神隧道.そして,ここで報告する旧馬神隧道である.
 旧馬神隧道の存在は,例のごとく「近代土木遺産2000選」で知った.竣工は明治21年,春日野金ヶ崎,そして旧池田に次ぐ5番目の古さの道路用煉瓦隧道とある.そして報告者は,年代もさることながら,付帯情報の「明治20年代の道路用煉瓦隧道だが廃虚化」という言葉に惹かれた.『だが廃虚化』とは,一体どんなシチュエーションを表しているのか.崩壊しているのならばしていたで,当時の煉瓦隧道の構造を知る手がかりになるのではないか.そんな思いが,実に12年振りとなる佐賀県行きを決行させたのだった.
 該当する旧隧道は地形図に記載されていない.旧道倶樂部の能力が試される場面でもある.期待と覚悟と寒さに震えつつ,報告者が多久駅に降り立ったのは,12月も暮れの30日,みぞれ混じりの雨が降る最中であった.


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