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こだわりの分水嶺


分水"例"-5.分水界特異点

 堀淳一さんの著書・「意外な水源・不思議な分水〜ドラマを秘めた川たち〜」を参考に、一風変わった中央分水界を集めてみました(パクリなんて言わないで〜)。また、分水嶺であることを示す碑や解説看板がある所も紹介します。

 (堀淳一さんの本に記載されているものについては☆印をつけておきます。峠名のリンクは本文へ、地形図は国土地理院地形図閲覧システムへのリンクです)

■北海道
日勝峠
 トンネル上の鞍部に旧道を利用した公園があり、その片隅に水量豊かな水場がある。ここからあふれた水は西へ流れて沙流川の一部となるが、サミット最頂部といっていいような所にあるため、3mも溝を掘れば東側のペケレベツ川の源流になり得る。どういう原理でこんな所に湧いているのだろう?
千歳空港付近
 どう考えても中央分水界のはずなのだが、海抜は高々50m程度。日本で一番低い中央分水界と言える。ここを通過する国道36号を通ってみたものの、美々の交差点の北側(□13.7!)が明らかな坂である以外は完全に平坦だった(国土地理院地形図閲覧システム・千歳空港)。なお、この交差点の東に明治天皇も飲んだという湧き水あり。降った雨は川を形成せずにこうした湧水になるんだろう。
静狩峠礼文華峠付近
 分水界は非常に太平洋側寄り。日本海に流れる川の最上流が、太平洋までわずか数百mの所にある。礼文華峠付近の分水界は国道の長万部〜黒松内町の町境になり、ここを境に地形が大きく変わるのも面白い(国土地理院地形図閲覧システム・礼文華峠)
■東北編
・十和田湖周辺
 ここから流れ出る川は奥入瀬川しかないので、分水界がぐるりと周囲を取り囲んでいる。十和田湖外輪山(というのだろうか?)をずっと歩いてみるというのも面白そう。
仙岩峠
 サミットの岩手側に「ヒヤ潟」という池がある。位置的には太平洋側へ属するはずだが、この池から流れ出る(明らかな)川はない。
巣郷峠
 湯田町側(巣郷集落)は高原状になっており、その一角に分水界たる巣郷峠。片峠とは違って湯田町中心部へもはっきりとした下りがあり、巣郷集落全体が台の上にあるという感じ。
鍋越越
 峠の西側は大きな窪地になっており、鍋越沼という閉じた沼ができている。西側(尾花沢市街)から登るとこの峠の前に母袋トンネルでピーク越えする。
二井宿峠
 典型的な片峠。山形県側の大滝川の侵食が激しく、険しい谷なのに対して、宮城県側は玉の木原という平野になっている。河川争奪で生じた地形とも(国土地理院地形図閲覧システム・二井宿峠)
■中部編
権兵衛峠
 明治の初めに日本海側の奈良井谷上部から太平洋側の伊那谷へ水を引く水路が作られている。水利権を持たない川を借用するアイデア・水桝が面白い。詳細は上記リンク参照。分水嶺の碑もある。
牛首峠
 現地にて峠の西側(日本海側)から水を引いていると思われるパイプと水槽を発見。詳細は不明だが権兵衛峠と同じような人工分水ではないかと推測される。
善知鳥峠
 峠に「分水嶺公園」があり、大掛かりな分水の仕掛けがある。が、私が訪れた時には水が枯れていて、そもそも分水を見せてくれるのかどうかもわからない状態。「みずのわかれ」と記された石碑あり。
鳥居峠
 国道19号・鳥居トンネルの中に電光掲示板で「分水嶺」の表示が・・・。こんな分水嶺は厭だ。
西ウレ峠
 峠の脇の広場に「分水嶺」の碑あり。道のピークには何やら手水鉢と山から水を引くらしき竹筒もあって、これを使って人工分水を行なう模様。1996年に訪れた時は普通の峠だったのに。
苅安峠
 1996年に訪れた時は、スキー場の前に人工の分水があったように記憶している。当時は大がかりな道路工事が行なわれていたため枯れていたが、今はどうなっているのだろう。
蛭ケ野高原
 ここは昔から有名。標高1000mのまっ平らな高原の一隅に中央分水界があり、一つの川が二手に分かれて分水する様が見られる(国土地理院地形図閲覧システム・蛭ヶ野)。が、現在の分水はコンクリートと石組で作った人工的なもの。90年代前半までは自然の分水だったという。もったいない話だ。
・夜叉ケ池
 金色夜叉や龍神に嫁いだ夜叉御前の伝説で有名な池。福井県と岐阜県の境、中央分水嶺にあたる1000m近い標高の山の鞍にあり、流れ込む川も流れ出る川もない。何だかたちまち干上がってしまいそうだが、事実、環境変化による酸性雨の影響で池の酸性度が上り、ここにしか住んでいないヤシャゲゴロウが絶滅の危機に瀕しているという。(国土地理院地形図閲覧システム・夜叉ヶ池)
■近畿編
・JR山陰本線・胡麻駅付近
 標高200mほどの谷中分水界。この辺りはなぜか谷中分水界が多い。(国土地理院地形図閲覧システム・胡麻駅)
栗柄峠付近
 峠東の谷にある二つの川、日本海への川(宮田川)と太平洋への川(竹田川)は200m弱しか離れていない。全然そんな素振りはないんだが・・・。現地には解説の看板あり。(国土地理院地形図閲覧システム・栗柄峠)
石生の水分かれ
 ここも谷中分水界。ここまで集中しているというのは、やはり理由があるのだろうか。(国土地理院地形図閲覧システム・栗柄峠)
 詳細は・・・拙文・こだわりの分水"例"-1を見て下さい。
■中国編
上根峠
 ここも有名と言えば有名。根の谷川による簸ノ川の争奪でできたと考えられる地形で、南から登ると正面に断崖絶壁、そこをウリウリと登れば信じ難いような平坦な所に出てしまう。堀淳一さんの著書の解説図がわかりやすいので、勝手ながら転載させていただきました。だいたいこんな感じで、片方が平坦、片方が急峻という地形は河川争奪によるものが多いようです。(国土地理院地形図閲覧システム・上根)
 1.最初期の地形最初期
2.根の谷川の侵食根の谷川の侵食
3.現在の地形現在
向峠周辺
 峠と言っても集落の名前。例えていうなら山の中腹にできた大きな棚のようなところで、谷底を走る国道から200mほど登った所にこの向峠集落がある。宇佐川による高津川(深谷川)の争奪でできたと考えられている。分水界はもう少し西、初見、新田といったあたりになるか。田の原には「水源会館」という郷土資料館もあり。(国土地理院地形図閲覧システム・向峠)
■九州編
水分峠
 筑後川水系と大分川水系を分ける、九州の中央分水嶺の代表的存在。歴史はそう古いものでなく、現国道210号線ができた時にこの名前がつけられたようだ。それより以前は日出生台方面を抜ける道や、北方にある立石峠(仮称?)が豊筑をつなぐ道であった。
・佐渡ノ窪(鉾立峠)
 周囲約3km、深さ100mくらいの大きな窪地で、この両端に鍋割峠・鉾立峠がある。標高の点から見ると鉾立峠の側を分水界が通っていると考えられるが、窪地なだけに流れ出る川は存在せず、降った雨は全て地中に浸み込んでしまうようだ。(国土地理院地形図閲覧システム・佐渡の窪)
やまなみハイウェイ近辺(瀬の本高原)
 火山性のもろい地質もあいまって、この付近の分水界は非常に変動が激しいらしい。ある所ではわずか数mの高さで九州を東西に分けているとか。(国土地理院地形図閲覧システム・やまなみハイウェイ)
横谷峠
 非常に繊細な地形。二十五万分の一道路地図で見るとまるで川が峠を越えて流れているようにも見えるが、細かい地形図を読めば分水界と平行な小さな谷があることがわかる。道のピーク付近で分水界に最接近するが、その距離実に10m以下。(国土地理院地形図閲覧システム・横谷峠)
霧桜峠
 これは実際に地図(国土地理院地形図閲覧システム・霧桜峠)を見てもらわないことには。一言で言えば「河川争奪の最前線」てな感じですか。峠南側の道はその左右から川が浸蝕してきているために尾根筋の上にあるように見える。一種のスカイライン状態。特に東側の川の勢いが激しいようで、こちらがわは独特の地形になっている。そのうちに無くなってしまうかも知れない。

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