nagajisの日不定記。
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いずれも『東京市史稿 市街編 54』より。pp.824-826。
煉化石並生石灰入札仕様書
一、煉化石は宜敷土性相選み焼方入レ念、焼方は内外一様に焼通り候品にて、黒味等無レ之品相選み可レ申、若試之上宜からざる品有レ之候はヽ取上不レ申。
一、寸法は左の図之如く形通しを以て試み、緩きもの形大く通らざるものは取捨可レ申に付、入念見積可レ申事。
一、寸法並性合共入レ念、一枚たりともかけひび入又は寸法違受取不レ申事。
生石灰
一、焼方入念、焼通り宜敷、色白き品にて水を掛熱立ざる品は取用不二相成一候事。
右之品之内煉化石は枚数当、石灰は貫数当たを以直段取調制作場所より東京迄之運賃積込、入札直段差出可レ申事。
壬申三月 東京府
〔参事/土木助〕 建築掛
東京形+5厘とは結構厳しい規格と思う。小さいのは多少大丈夫としても、同寸でちょっとでも歪んでたらアウト。小口や長手に物差しを当ててぴったりだったら多分適合しない。欠けや罅を許さないばかりか一部が焦げたようになったものも刎ねられる。大変だったに違いない。
金壱円也
右者今般消失場家屋煉化石を以建築に付ては、職方之者え築建方差図等致候にも、掛之者篤と心得居不レ申候半ては差支、且絵図のみにては分り兼候廉も有レ之候間、別紙図面之如く、木にて煉化石三分一之雛形出来致度、御入用積為レ致候処、前書之通相掛不相当無レ之候間、直に取懸申付、出来之上は代金出納掛にて仕払候様取計可レ申候。此段相伺候也。
壬申〔○明治五年。〕四月
覚
一、金一両也
右は煉化石雛形御絵図面之通り都合六通りにて、惣数弐百本入念出来可レ申候。
申四月三日 元平川町
指物師 権 右衛門 印
〔土木助/権参事〕 典事 〔検査掛/煉化石掛〕
煉瓦積みを職人に教えるために木で1/3スケールの木製模型を作らせている。それでイギリス積みとか○枚巻とかやったんだと思うとちょっと微笑ましい。でも作らせているのは指物師でとても本格的。
そのほかにも小菅での煉化製造受負下げ渡しに関する資料とか報奨金制度のこととか窯焼き立てに要する時間日数のメモランダムとか。最後のは焼立と再焼立の二本立てになっていて興味深い。
極上 六拾兩 但、定價〔壹萬本に付五拾兩え貳割増〕
上々 五拾七兩貳分 但、同斷壹割五分増
上 五拾五兩 但、同斷壹割増
右煉化石之儀御定直段を以請負人共相納罷在候處、精粗相違有レ之、殊に員數捗取兼候ニ付、定直段之儀は此儘居置候て、猶最上出來之品は、檢査之上評決を以書面之直段ニ御買入被二成遣一候ハ丶、納人共互ニ勉勵、格別品柄相進ミ、多數納方出來可レ申候。依レ之此段相窺候也。
四月〔◯明治五年。〕
〔土木助印/権参事〕 典事〔印/印〕 〔檢査掛 印/煉化石掛印〕
上煉化石 百本ニ付 五拾錢
中 〃 三十三錢三厘三毛
下 〃 拾六錢六厘六毛
右煉化石當分之内定直段ニ而買上候様仕度、此段相伺候也。
申四月十四日 ――建築事務御用留
煉化石焼立日數
初 十二字之間 弱火
次 廿四字之間 烈火
後 六字之間 弱火
右ニ焼立火口幷煙出シ共、都テ空氣不レ入様、ネハ土ヲ以塗立候て後五日五夜釜中にて冷し置、煉化石釜出し之事。
同再度焼立日數
二日ニ夜 焼立
内
初 半日 弱火
次ニ一日一夜 烈火
後 一日 弱火
右焼立跡焼口煙出シ共空氣不レ入様煉土ヲ以塗立、後二日目竈出し之事。 ――建築事務雑書留