nagajisの日不定記。
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母と共に学校に来た。空も心も晴々した入校式の朝であった。今日までの勤勉のたまものだ。母と別れて生徒舎に入る。そして軍服と着かえたが大きく亦毛で出来ているので暖くて苦かった。剣も帯びた。本当の剣を帯びたのは生まれて初めてなので重く且つ嬉しかった。午後母が帰られた時は少しくさびしかった。其の前に二回父兄との面会があった。入校式の時、朝から立ち続けた為か脚と肩がいたかった。幼年校の飯はうまかった。風侶〔呂〕にも入った。晩は注意や生活の訓 〔?〕
※以下カナ書きになるがひらがなに直す。
生れて初めて寝台にて寝た為少しきうくつで気持が落着かなかった。何となく時間のたつのが早い様であった。[夜間] 洗面も初めてであったがす速く出来た。何となく晴々しい気だ。軍服・軍帽・靴等其の他名前を書いた。午後は体操があった。あの時は特に暑かった。其の後棚の整理があった。棚の中が見違える様であった。夕食後運動場にて班が運動班に別れて話合をした。其の際校歌を聞いて気が胸にはりつめて感激した。
〔文語体にてかけ〕
洗面がすみてすぐ雄建神社に参拝を行った〔いぬ〕。朝の神々しき中に吾々は入って〔り〕行ったのであるが〔しが〕、其の境内に入ったる時厳かな〔る〕気持ちになった〔りぬ〕。宮城に向いて敬礼をなし父母の古〔故〕郷に向きても安らかに暮せる事を祈り且つ敬礼を行いたり。其の後靴の手入法を教わる。朝食後教程・正手簿に名を書いた〔きぬ〕。墨がなかなかかわかぬのに〔ざるに〕は大へん苦心をした〔しぬ〕。午后体操を行う。遊戯を面白く行う。その後外出姿にて写真をとる。その際は立派な姿だった〔なりき〕。晩、生徒監殿の話があった〔あり〕
今日初めてたわしにて摩擦を行いたり然しあまりに痛いので〔き為〕少し軽くした〔せり〕。雨が降って〔り〕いたので〔たりし為〕神社参拝はしなかった〔せざりき〕。佐々木軍曹殿より銃剣の手入法について新たにならっ〔い〕たり(朝食後)。後、勅諭に付いて、生徒監殿の訓話があった〔あり〕。十一時より教練があった〔あり〕。十三時より被服の手入法をならったが〔習いしが〕、教練の疲れが出でて〔トルツメ〕立つのも難しかった〔りき〕。其の後体操がありて心身共に錬りに錬った〔りぬ〕。体操の際、書物を拾う為座坐った〔りし〕のは良くない〔からず〕と思う。夕食後合れい調声があって〔ありて〕声をからした〔ぬ〕。
朝勅諭の奉読があった〔あり〕。九時より修身の授業があった〔あり〕 此の時間中は大へん眠かったが〔りしも〕ぐっとがまんをしていた〔なしいたり〕。それから〔より〕上級生の授業見学を行う。皆真面目に授業をしている〔受けられたり〕。十四時より保健衛生についての訓〔トルツメ〕話があった〔あり〕。良く健康に注意しよう〔せん〕と思った〔いぬ〕。夜十九時より集会所で〔にて〕第二訓育班での〔の〕集会が生徒監殿〔指導〕の元〔下〕に行われた〔り〕。特に森田の話が面白かった〔りき〕
今日は日曜でありたる〔なる〕為生徒監殿〔指導〕の元に郊外訓育が〔トルツメ〕あり先ず藤崎宮に行き加藤神社に行き幼年校阯を見学し然る後熊本城を見学し石垣の作りに感心し清正の頭の良い〔き〕ことをつくづくと思った〔いぬ〕。帰りに生徒監殿の家をならう帰りは電車であった〔なりき〕。そのご集会所にてピンポンをなす、我ながら下手なのに驚く。夕食後上級生の軍歌練習を見学し、十九時より家へ手紙を書く。
八時十分より修身講堂にて訓育部長殿の訓話が〔トルツメ〕ありき。十時より医務室で〔にて〕駐車を行った〔いた〕り。それがすみて〔其後〕洗面所にて洗濯を行いたりしが、あまり良くよごれがおちなかった〔ざりき〕。十三時より体力検査が〔トルツメ〕あった〔り〕。体操がすみて後、十分にて講堂に入り神田中将〔閣下〕の訓示が〔トルツメ〕ありき。夕食後雄建神社前にて軍歌の練習を行う。夜は自習。
今日まで着校延期をなしたる藤本来る
朝、体操に出ず〔づ〕、八時より十四講堂にて生徒監殿の話がありき。一通り勅諭の意味が分る。九時より体力検査がある〔あり〕、俵運搬は失敗したれども二千米は八分二十三秒であった〔なりき〕。十一時班より洗濯を為す。十三時より再び生徒監殿の話があり。それより身体検査を行い、医務室にて診断を為す〔受く〕。以後自由。夕食後酒保へ行き、菓子を食う。大変うまかった〔りき〕。
(nagajis:文語体に慣れてきてはいるが油断すると口語になるのが愛らしい)
〔欄外:今日より三日間寝室取締生徒〕
朝、雨降りた為、服装検査なかりき。八時より九時までは自習なりき。九時より第十四教場に於て、生徒監殿の話あり。其の後剣道場にて教練を行なわる。昼朝時にて、明日よりの朝の行事につきて週番士官殿より話あり、十三時より医務室にて血液型検査あり。十四時より診断に行き、直に体操にうつる。夕食後、理髪所にて頭の毛[墨消]髪を刈る。
明日より授業あり。夜は明日の授業の予習を為す。体操は棒倒しの練習あり
勤務はよろしい〔?〕。今日より時間割変る。速かに洗面を終えると〔トルツメ〕ラヂオ体操にうつれり。後、神社参拝を行う。授業始まる時間割は下の如し。代数・図画・独語・博物なり。昼食は誕生日会なりし為、教官殿も来る。十三時より自習あり。十四時より教練あり以降は自習 夕食後酒保にて最中を食う 大へんうまかりき。
五時間授業あり。十四時十分より愛校作業ありて、手、真黒になる。続きて一・二・三合同の体操ありて棒倒しを為す。二人三年生を組しきたる時は大へん嬉しかりき。すぐ夕食となる。食後、今日は混浴なる為、直に入浴する、一番湯なる為湯がすみていた為気持良かりき。
霧深き為東山見え不りき。太陽を見てもまばい〔ゆ〕くなかりき。生れて初めてなり
〔欄外:正后寝室取締役を終る〕
午前中は前日に同じ。十三時より生徒監殿の話あり。ついで十四時より愛校作業ありて、草を思う在分刈る。十六時より棒倒しを行い、三年生を二人組布〔伏〕す。嬉〔し〕かりき。夕食後酒保へ行き、八時まで遊ぶ。大いに面白かりき。其の為自習されず。残念なりき。明日は嬉しき外出なり。
夕、窓を全開にして寝る。夜中急に寒くなりたる為、河野軍曹殿が閉めに来られたるに気付く。二十三時頃より大雨となる。朝、糞便検査あり。日曜なる為ゆっくり動作を行う。八時十分頃より外出を行う。然〔但〕しマント〔雨外套〕を着たる為、むし暑い〔き〕上、きつかりき〔し〕為、五高前まで行きて引かえす。行かぬが良いと思った。〔朱線、欄外に「文語体を用いる事〕それより昼食まで手入を行い、食後洗濯を為す。sれより三時半まで寝て話をしながら疲れをなおす。四時より五時半まで自習する〔トルツメ〕。夕食後軍歌練習を行う。一日愉快であった〔なりき〕。
独語は英語よりやさしき事を思う。十四時より佐々木軍曹殿指導の元に体操を行う。十五時十五分より生徒監殿の話あり(明日の火災・防空訓練に付きて)その後棒倒しを行い、三年生を二人組仕〔敷〕く。面白かりき。十七時より入浴す。夕食後運動班の軍歌練習あり。音楽にて校歌を習う。
町田生徒監殿十四日十六時より十五日九時まで週番となられ〔トルツメ〕る
授業五時間あり、十四時半より火災訓練あり、松浦・片山にかわりて正伝令となる。其れがすみて〔右終わりし後?〕十五時半より十六時半まで布瀬〔施〕少将閣下の至誠に付いて〔就きて〕の訓話あり。非常に愉快に且つ為になりぬ。酒保に行かずに自習を為す。
本当は郊外訓育なりしが愛校作業あり。裸にて行いしが猶おヽ暑かりき。大へん疲れたり。十六時より棒倒しを行いたりしが初は三年生にたたかれたので〔「ので」に朱線〕、後は丈の太い〔高い〕三年生を組仕〔「仕」棒線し「?」〕いた。その為、心晴々す。然し敗る。残念なりき。
十五時より初めて剣術あり。三時間終業後野田閣下の話話あり(精神・身体・学術) 〔随〕意運動時に、三十分間運動をす。汗が多く出でたり。夕食の際も汗多く出でて困る。
今朝は如何なる理由か、物事を為すにおそかりき。昼食後、本部へ行きて渡邊中佐殿へ面会す。六時間目、集合がおそいと云って〔しとて〕生徒監殿より注意さる。体操続きて教練あり。大いにきりかりき。待ちに待ちたる、江口・副島両先生熊幼へ見学にこらる。六時より話を為す。旧師なつかしかりき。点呼後、佐中へ激励の文を出す。
朝、食堂へ来られた〔し〕両先生はそのまま帰られた〔ぬ〕。昼食は「うどん」なりし為、あまり〔取消線〕食い過ぎてしまう〔ぬ〕。十三時半を九時半と見て、閑院宮殿下御台臨の際の予行が行わる。然るに、棒倒しを行った後、生徒監殿曰く「殿下御台臨を御中止あらせらる。」と、我、残念なりき。夕食まで自習を為す。今日は随意自習なる為、生徒集会所へ行きたかりしが、遂におしきって自習を為す。〔欄外:可〕我の意思の強健なるに感心す。日夕点呼後、机の引出及び整頓棚の検査ありしが、模範生徒殿より賞められて嬉〔し〕かりき。
八時服制〔装〕検査がすみ、後洗濯を為し、手紙を書きて十時に、片山・松浦・門松と共に外出を為して生徒監殿の家へ早速行く。すでに、手塚・田村・高橋。中神・牧之内は来て居た〔居れり〕。校門より生徒監殿のの門前まで、六十一分かかる〔を要す〕。午後は十人にて、競技及び、色々行った〔いぬ〕。これ〔トルツメ〕は一生忘れられぬ事なりき。往復徒歩。大へんきつかりき。復りに〔帰途〕伝令の行先を定む。無事〔nagajis:?〕にてすごす。夕食後、全校生徒の軍歌練習あり。号令調声にて声をからす。
今日より朝の行事変る。手紙が射場さんと母より来た〔た〕る。六時間目の剣道は一番先に行く。風呂も一番なりき。澄みたる湯の中にざんぶと入りたる際の気持よさ。何にたとえ様もなし。夕食後重装甲車を見てしらぶ。然る後学班ごとの軍歌練習あり。その為声かる。今日の自習は大いに能率上る。
此の頃常に思うは日のたつの〔トルツメ〕が実に早い〔き〕事なり。先日、日曜と思いたるのに、すでに、二日過ぎたのだ〔るなり〕。ドイツ語いよヽ面白くなる。先日ありし代数の考査は19.5にて好生〔成〕績なる為、嬉し。体操終業後、行進悪しとて校長殿より注意さる。随意運動の為になるのが〔有意義なることが〕わかる。夕食後は酒保へ行き、菓子を食いつつ呉〔碁〕の五目並を為す。少年倶楽部の五月号の読めざるは残念なりき。特待生となる
朝食前運動場を周りしが大変気持良かりき。毎朝続ける覚悟なり。十三時より拾六時まで愛校作業行う。きつかりき。教育総監部総務部長、本校を見学され会食をなす。
今日は毛布をほす。そして〔トルツメ〕昼食後寝室に入る〔トルツメ〕る。訓育学科・自習・教練あり。教練のすみたるが十六時五十分なりし為、直に入浴す。夕食後は随意自習なりし為、二十時まで集会所にて少年倶楽部を読む。面白かりき。
今日は靖国神社臨時大祭なる為休業なりき。第三学版は一・二・三年共揃いて体操服に身を固め、途中軍歌を唱えつつ招魂社参拝を行い、6時三十分帰校す。起床は三時なり。途中川の水より水蒸気の出ず〔傍線して「?」〕るを見る。中々めずらしかりき。大いに気持よかりき。
帰りて足を検査したれば、二重豆出来ていたり。八時より九時三十分まで佐中の校長先生に手紙を出す。それより直に外出の用意を為し、校庭に集合し、整列し、式を行う。十時十五分に拝礼・黙頭を為す。父は今日合祀されたるのだ〔なり〕。式終りて、体操倉庫前にて生徒監殿の話あり。特に感深かりき。それより工程を神野と散歩す。而して後、寝室にて遊ぶ。十二時になるを待ちて食堂に行く。あのいに〔nagajis:原文アノ井二、「アノ」に朱線削除〕二盃食い、おかげで〔にて〕腹工合が良くなりぬ。食事が終ると〔を終え〕体操服に着替え重製〔装〕甲車を一時間程しらぶ。十五時半まで生徒集会所に行きて書物を書む〔「書」に朱線、「?」〕。十五時四十五分より十七時まで寝台にてぐっすり眠る。おかげにて眠さがなくなりぬ。夕食後は遙拝所の下にて軍歌演習を行う。今日は遂に行こうヽ〔かん〕と思いし酒保へ行かざりき。今日一日は私〔予〕にとりて意義深き日であった〔なりき〕。 〔欄外:父上の御霊を安んじ奉るべくしっかりやれ〕
今日は寝室掃除なりし為、勅諭まで恒より動作を早目に行い、寝室を帚〔手偏追記〕き、而る後床を拭く。一時限目の漢文の際、思いがけなくも考査あり。十三時より、十五時まで、整頓棚・机上・剣の手入を行い、而〔然〕る後、之〔此〕の検査あり。以後十六時まで随意な力。随意運動は脚痛かりき〔し〕為、行はなか〔ざ〕りき。そして〔其の代り〕洗濯を行う。夕食後は直に集会所に行きて本を読む。而して二十時十五分帰る。中々面白かりき。
八時三十分服製検査すみ、二年の宮田さんと共に外出を為す。徒歩にて行き、先ず武徳殿に行きて剣術の試合を見学す。それより階行社へ行きてパンを食い、ソーダ水と「ハヤシライス」をも食う。十一時三十分より、ニュース館にて「美の祭典」を見る。あまり面白か〔ら〕ざりき。復りは電車にて復る。それからは〔其後〕集会所にて本を読む。夕食後軍歌演習を行う。 〔nagajis:階行社→偕行社〕
近頃暑きには大変困りぬ。体操(五時限)終予後、教頭殿のもとへ行く。十五時三十分より十六時三十分まで自習を為す。夕食後は台上にて軍歌演習行う。それより二十時まで集会所にて読書
八時、天長節の式終予し、直に全員にて片道二里と思わるる帯山練兵場に行き熊本師団長の観兵式を陪観す。特に砲兵の行進には興深かりき。それよか〔り〕川野と共に階行社〔傍線、「?」〕へ行き、サイダーを飲み、弁当を食う。大変美味かりき。復りは三訓の久保と藤崎宮前より校門まで別道にて競争す。結局同じなりき。十四時より十七時半まで手入並に洗濯行う。夕食後校外へ軍歌演習へ行く。それ以後は八寝室にて一・二訓皆にて話を為す。特に怪談は面白かりき。 〔nagajis:終予は終了。前の日の日記でも間違えているが訂正が入っていない〕
〔欄外:今日より三日間取締生徒となる。〕
今日は靖国神社例大祭なる為終日休業なりき。四時非常呼集のラッパ鳴りて、吾、はっと目をさましぬ。初は火事と思いて驚きぬ。三年生の「体操服ヽ。」と云う声ひゞく。体操服を着込み本部へ行こう〔かん〕とす。すると〔。~と朱消線、るに〕生徒舎西部に当りて「集れ」の声。あわてゝ行きて並ぶ。ここに於て、火事ならざる事を知る。それより模範生徒殿引率の元に、陸軍墓地へ行き、参拝す。駈足にて行きたる為、帰校した〔せる〕際は歩ききらぬ〔得ざる〕程なりき。外出点呼なかりき。九時三十分より十二時まで、十二時三十分より十六時三十分まで約六時三十分間読書室にて書を読む。夕食後は軍歌演習取止め。自習時間は、良く自習なさざりき。今日一日の生活は大へん下手に行いた〔ぬ〕と後悔している〔あり〕。