nagajisの日不定記。
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今日の朝食は六時四十分なりき。七時二十五分に雄建神社前にて興亜奉公日の行事あり。勅諭勅語奉読あり。それより授業あり。二時限目の図画は国語に変更となる。昼食は粥なりき。大へんうまかりき。食後、取締の勤務の交代に行く。五時限目は町田生徒監の訓話あり。七時限目は剣術ありて「面の漸激〔傍線、「?」〕」を行う。随意運動は脚〔足〕に豆が出来ていた〔居りし〕為、行わざりき。夕食後は酒保へ行き、菓子・果物を食う。吾ながら金の用〔使〕方のひどき事に驚く。酒保は今後しばらく行かぬ〔ざる〕つもりなり。初めての取締でありたる〔なりし〕が、初の中は如何にかありたるが、夜頃には何ともなき如くなる。 〔欄外朱書:正しき文語体を用いよ〕
昼食後は命令受領・日曜の食事調査等にて、目廻る程いそがしかりき。実科には体操・教練あり。砂埃立ちて困難す。随意運動時に運動班運動ありて剣術を行う。夕食後軍歌演習あり。
正后、取締生徒も終了す。十三時より吉満少佐殿より、衛生講話を受く。十四時四十分まで一時間整頓棚・寝室・自習室の整頓を行い四十分より月例身体検査あり十五時三十分に整頓検査あり。夕食後、腹痛にて困る。自習を為して集会所へ行かず。
六時起床す。服装検査後より二時間、家と田口亨一へ手紙を出す。以後半時間に運動場を散歩し、それより三十分勉強をする〔をする、に朱傍線〕。十二時半より十五時半まで勉強為し、十六時四十分まで運動を為す。夕食後軍歌演習あり。今日は明日授業(教授部)なきが正規の自習なりき。
今日は開校記念日なる為、授業はなく、八時二十分より棒倒し、十時より雄建神社祭行われたり。十一時より大講堂に於て、校長殿の訓話あり。昼食は会食なりき。タンゴの節句なるも由なり。赤飯・ちまき・菓子皆うまき物ばかりなり。食後、校長殿の恩師の話あり、後、校歌奉唱・熊幼万歳を行う。午後は校外訓育なりき十三時三十分出発し十七時二十分帰校す。貯水池・細川廊へ行く。然し予は棒倒〔人偏に致、と誤字、これに朱傍線と「?」〕しも訓育も行わざりき。大変残念なりき。
午前中一時間授業を行う。九時四十分に教育総監〔閣下〕が来られ、吾々は出迎後、教練を行い、十二時に致〔朱傍線、「?」〕る。壮観閣下と会食を行い、後訓話あり。十三時三十分に見送りを為す。それより四時間授業ありて十六時三十分に致〔朱傍線、「?」〕る。夕食後、酒保へ行く。
〔nagajis:5月1日に「しばらく行かぬつもりなり」と書いたのに…〕
吾、寝室掃除に当る。昨日食過を為し下痢をす。下痢すると苦しき事を知る。十三時舎前に集合し、下川大尉殿引率の元に招魂社参拝を行う。社前にて解散を行い以後自由となる。吾は先ず吉武写真館にて撮影を行い、十五時五十分其処を出ず〔「ず」に朱傍線、「?」〕。その一時間は汗にて「ジュバン」がぬれたる為干しいたり。それより直に電車にて復る。帰校後直に「ジュバン」及軍衣を干す。夕食の際は暑くてヽたまらざりき。軍歌演習あり。干物は過に〔朱傍線、「?」〕乾きいたり。自習の仕方は他日より良かりき。実に今日は暑き日なりとつくヾ感じた。〔「じた。」に朱傍線〕 摂子〔氏〕二十九度なり。
十三時より訓育学科あり。七時限の教練終予後直に随意運動を行い、手榴弾は三十五米投げられる様になる。体よごれたる為直に入浴す。十九時四十分より夏服に着がう。嬉しかりき。
五時限目の国語は研究授業なりき。六時限目にはすでに雨降りいたりし為、自習室にて体操あり。七時限目は自習なりき。治療に行く。今日の温度は最高二十六度、最低十七度くらいなり。夏服は涼しすぎたり
休時間にキャッチボールを行う。十三時より十四時二十分まで自習をす。十四時二十分より接種。後、直ちに就寝す。十六時より校門に整列して江口の霊を見送る。すでに十七時四十分。食堂へ行く。亦就寝す。二十時頃眠る。熱出でたり。
今日はすべて随意なりき。六時五十分に起床し、洗面し神社参拝を行い食事を為す。パンに卵なり。始めての卵なり為、嬉しかりき。食堂より出づれば、直に服装検査に出場す。八時半より十二時まで手紙を三通書く。午后は野球を三十分して理髪に行く。三時まで読書し以後は洗濯をなし入浴す。頭痛してふらヽしぬ。夕食後は軍歌演習あり。終日接種痛くて走る事能わず。実に今日は面白からざる日なりき。
入校以来、四十二日径〔経〕過したれども、今日まではあまり朝の動作はすばやくなかりしが、今日は一番速かりき。三時限目の独逸語なりしが野本教官殿欠勤なる為自習なりき。十四時より行われたる体操の際、三訓と騎馬戦を行いしが、残念にも敗れたり。十五時大講堂に集合し憲兵分隊長殿の防諜に関する話あり。以降直ちに自習室にて生徒監殿の話並注意あり。夕食後、運動班の軍歌演習あり。
克く考えるに未だ勉強のたらざる事を知る。今後大いに勉強をする覚悟だ。7時間目の自習はさわがしくて、為す事能わず。随意運動時に、台上にて、週番士官殿の低鉄棒の用法に就て諸注意あり。以後運動を為したるが、便所まで来る時、食事前一分のラッパ鳴る。急ぎに急ぎて動作を行いたる結果食事に間にあう。これ程行いたる事は始めて也。(脱靴-体操服脱-軍服着-食堂)。夕食後酒保へ行く。自習は能率少かりき。
朝は摂氏六度なりき。寒しき事、いちぢるしかりき。幾何は何も解せざりき。幾何に今一そう力を入れねばならぬ事を悟る。十三時校門出発、西部第十六部隊付近にて休憩十五分、後は一気に上江津湖の南へ歩す。復りは藤崎宮まで誘導となりて行く。往復約十四粁。幼年校前駅より鈍剣を抜きて校門丘へつき進む。大いに面白かりき。夕食後直に自習なりき。
昨日より昼より寝室取締となりたる為今朝は寝室掃除なりき。十三時より訓育学科あり。十五時より剣術、随意運動時は明日の考査準をなす。 〔nagajis:考査準備?〕
八・一〇-九・三〇 自習
九・三〇-一〇・二〇 博物考査
一〇・二〇-一一 休
一一-一一・五〇 歴史考査
大体に於て考査は出来た。十三時十分より第二回接種を行う。〇・七ccなりしが前回に比して痛くなかりき。然し一時間して手の動作がならぬ様になる。夕食後頭痛がして動く事能わず 熱は約三十八度五分はあっただろう。
朝食前起床、直に飯を食いしが、如何なる理由か食いたくなかりき。一方より云えば頭痛して熱ありたるが為なり。昼まで靴の手入・註記を行う。昼食もうまくなかりき。十四時より一時間にかけて検査あり。夕食もまずかりき。夜運動班会ありしが、やはり食欲なかりき。考うるに今日一日は頭痛致し、熱あり、たのしからぬ日なりき。
昨日の母よりの手紙に十八日に熊本に来ると記してありたる為、我は上熊本駅へ十一時まで行く。それまで写真を受取り、川野と共に教導学校へ行く。十一時列車致着、少しぼんやりしている処を母と妹の目に入る。一月お目にかゝらなかりし為、嬉しかりき。直に階行社にて昼食をとり、その際、写真帳と、父と華族の写真を受取る。以後母は用事なる為生徒監殿の自宅へ行く。我は妹をつれて水前寺の動物園へ行く。特に「マンドリル」「インドカモシカ」が目ずらしかりき。急ぎ生徒監殿の自宅へ行き母と共に帰る。市電にて熊本駅へ行きしが遂に乗りそこねた。その際は泣きたき様な気持す。十六時なりき。我はそこで別れをつげしが名残惜しさにたまらざりき。子飼橋の前まで市電にて来し時はすでに十六時二十三分、急ぎに急ぎて徒歩にて帰りし結果、三十六分かゝりき。往復徒歩なりき。今日は母と妹に会い実に何とも言えぬ感深き賢張した日なりき。 〔nagajis:賢張した→緊張した、か〕
夕食までは常日に同じ。夕食後軍歌演習。自習時間は始は真剣ならざりしが、後になるにしたがいて真剣味加る。今夜より「カヤ」をつる事となる。朝の中は昨日の事が気にかゝりて授業はぼんやりとすごす。以後は忘れろと心に決めた為、忘れかけていた。未だ気弱き事を知る。頑張れ!! 〔欄外朱:幻を追うこと勿れ 町田印〕
第三入浴なりしが明日は阿蘇登山なりし為、入る。入りみてさっぱりする。さはり入らねばならぬ事を知る。二十時点粉、二十時三十分消灯なり。〔nagajis:以下一行墨消し〕
四時十分起床す。直に自習室に出る。机の上に弁当・おこしが乗り致る。菓子出でたるは始めてなりし為嬉しかりき。四十分舎前集合、瀧田口-坊中まで列車輪送。駅前にて朝食を食う。坊中より歩き出し五合目にて休む。特にきつかりき。六合目までは草地なりしが以後は灰地となり、ほこりがひどかりき。あとの五合は楽なりき。苦は楽の種なる事を知る。十一時昼食、写真をとり三十分よりふん火口に致る。水蒸気は絶えず出づ。噴火口をのぞきしは始なり。下りは岩のごつヽせる処を下る。大変きつかりき。下りて官幣大社阿蘇神社参拝、宮地-瀧田口まで列車輪送、裏門に著きしは十九時なりき。以後食事・入浴・手入なり。今日は実にきつくて休みたくてヽたまらなかりき。然し良い教訓を得たる事を喜ぶ。
〔nagajis:致る、輪送、著きし、いずれも原文ママ〕
一日昨日の疲れ出でてきつかりき。十六時三十分広幼四十五期生来る。吾等は雨の中を出迎う。広幼來る為、入浴はだめとなる。十九時まで笹富と語る。佐中出身者広幼の者と語りてなつかしかりき。十九時三十分より二十時四十分まで、柔道場に於て両校四十三期生が集りて話しす。特に広幼の元気に驚く。それにひきかえ熊幼は、少し遠慮した様だ。
〔欄外朱:底力あるなり〕
六時五十分広幼生徒を見送る。直に食事をせしが寝室掃除なる為、洗面を行わざる為、変りたる気持す。体操にて始て、跳箱使用を行う。跳箱は昔り大すきな用具なり。随意運動時に運動班運動ありてパスケットボール〔傍線〕を為。真に愉快なり。夕食後、班長増森さんが前日の感想を吾々に尋ぬ。今日は大へんいそがしき日なりき。
〔nagajis:昔り、パスケットボール、原文ママ〕
代数の考査は悪くはなかったと思う。自習中はまじめに自習をし、酒保へ行かざりき。酒保へは行かぬと決心した故なり。然し能率は上がらざりき。未だ勉強の方法不十分なりと思う
外出をなし、写真を取りて十時に帰校す。それは直に家へ送る。昼食後、御紋菓を送る手つゞきをなし、以後十六時まで二時間昼寝す。これにてやっと疲れをかいふくす。今日は実にのんびりした日なりき。
〔nagajis:「かいふく」原文「クワイフク」〕
雨なる為教練は体操に変更。勉強に勉強す。一生懸命勉強した。能率は上りたるだろう。修身事業の始、笑いたる者ある為五十分間座して授業をなす。笑う人間・私語する人間は弱いのだ。必要のみ語る人間は強き事を知る。
〔欄外朱:然り〕