nagajisの日不定記。
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代日休暇なり。朝より志摩の家へ遊びに行き、十五時まで西瓜・サイダー・其の他を食う。帰りたる際は、しぼる程汗出でたり。夕食後は随意自習なりき。明日佐賀へ復るか復らざるかに苦心したれども、遂に思いとゞまる。思う存分食い愉快なる日なりき。
中期としての授業始まる。午前中学科三時間、及び自習或は術科一時間なりき。午後は午睡一一〇分と自習或は術科一時間なりき。後は前に同じ。起床五時半、朝食六時半、七時半より授業なり。少しのんびりとなりたるが、体がだるく、睡眠不足の感せり。
体の具合は前日に同じ。午前中体操なりき。横木・助木にて行う。特に腕力の不足なる我に於て、最も良き運動なりと思う。成績の発表あり。
午睡後月例身体検査あり。胸囲一糎増加なす。後、防空演習して対空監視所に就き教練を受く。手旗なるが大体わかる。午睡前に命課布達式あり。汗を多大にかく我を自と驚く。襦袢を三枚ともぬらす。然し何となく愉快なり。
午睡の際深谷さんはさんヾやられたり。町田生徒監殿は十六泊の予定にて戸山学校へ行かる。一週間午後は裸体なるを許可せらる日夕点呼なく随意消灯なりき。今夜は必ず寝台襲撃行わるならん。図書へ行くと勉強を忘る故、行くまいと思う。
〔nagajis:寝台襲撃=ストームだろうか〕
昨夜多く室台襲撃をなし見破られ今日は外出取止めとなる。午前中は諸事なし以後集合所へ行く。外出止めとなり。手筒を得る能わざりしは残念なり。運動をもなせり。愉快ならざる日なりき。
二時間の午睡は眠ること能わず。何となれば眠からず。教練の際雨に遭い濡る。随意運動時二千を走る。あまりきつからず。中期に於ては運動をよくする覚悟なり。
柚木崎・下川両生徒監殿陸士乙委員として試験される事となる。今年の一月の十八日を思い出して已まざりき。術科は午前中体操なりき。
午后模範生徒殿に藤森さん松原さんがなられる旨わかりたり。いよヽ前期の深谷さん正木さんと分れなければならぬ事を感じさびしき感せり。寝台襲撃は会議の結果止められたり。
昼食前に模範生徒殿の交代あり。四時間目・五時間目に渡り兵器・游泳けい特品の検査あり。長びきて随意運動に出る能わざりしは残念なり。小説を読み始むれば止める能わざるなり。戒むべきなり。
〔nagajis:「游泳けい特品」は「游泳携帯品」か〕
四時半に起床し室園まで交換駈足を行い六時に至る。あまりきつくあらざるなり。然し甚しき汗出でたり。外出せず止まる。然し愉快ならざる日なり。
たむし出で残念なり、必ずやなおさん。入浴はぶっそうなり。
四時半起床なし運動班の交換駈足をなし、一年は室園までとす。復りは松崎より校門に至る間マラソンなりき。徐中は疾れ大なれども、著校後は疲れ忽ち良くなりき。此に於て、マラソンに於ては最後の五分間即ちあと千米の所からが大切なりと思う。外出せず。前週の日曜に同じ。運動をせざりしは遺憾なり。酒保はまずく、何時か偕行社にて食もうと思いいる。
〔nagajis:二日に分けて書かれてあり、はじめ18日の日記として書いたものを訂正して17日としている。内容は確かに前17日に同じ。「徐中は疾れ大」→「途中は疲れ大」か〕
一週に一度なる教練は今日行われたるが、汗軍服を通す。かく暑き日は他に例なかりき。三十度なり。午睡は眠からざる為、眠る能わず。
訓育学科に於ては地図の見方(山・川)を習い、非常に明白に地図の見方の知識上りたり。午後体操終了後学校として体育の為に二千を走る。全校生徒なり。以後鉄棒をなし、今日始めて練習し始めたる「大ブリ」が上りたる際は特に愉快なりき。
午前中に自習行われ、午後は雄叫台上にて愛校作業行わる。了りて後鉄棒をなしたるに豆出来たる為やめて二千を走る。もう一週間毎日走りいるため、あまり疲労せず。夕食後有空演習行わる。
明日の校外演習に持参する準備をなす。入浴行いたるは十九時にて、それより自習をなす。点呼十九時半、二十時消灯なり。明日は四時起床の予定なり。
朝雨天なる為、百貫方面一泊校外演習取止めとなりたる為、第一時間目は正規の自習、第二時間目より三時間授業行われたり。朝食は飯盒にて昼食はむしぱん二つなりき。十三時より四十分間、暑中稽古予行行われ、十四時半より大講堂にて野田生徒監殿の時局に関する講話あり。講話の際は眠きたる為、十分わからざりき。
常なれば六時半着校なし、休養なしいたれたれど、授業ありて嬉しからず。此も皆天候の為とあきらめ居たり。十一時より一時間大講堂に於て、昨日のつゞきの時局につきての講話を鬼木生徒監殿より承る。日本人と南洋の土人と親るいと承り、一方に驚き、一方に嬉しく思いたり。午睡後愛校作業行わる。随意運動時に先日約した訓育班運動即ちバスケットボールを行う。極めて下手なれども一生懸命行うため体の運動に非常に為になると思う。今後もつづけられたし。
外出なさず。昨日は取締なる為、いそがしきこと眼の廻るが如し。一日自習室にて植物採集・図画等をなす。酒保にては「らむね」のみなる為、飲まず食わずにてがまんなす。取締となり、大へん忙しく、何事にも追われて仕事する感せり。
いよヽ暑中稽古始まる。午後は消防演習行われたれども副伝令なる上取締なるため生徒〔アキ〕に残る。故に疲れなし。随意運動時は午睡許されたれども眠らず運動す。待ちに待ちたる町田生徒監殿は明日帰らる。九月一日より十四日まで休暇を命ぜられおどるばかりの喜方なり。游泳の写真来り。
服装検査の際校長殿少将に進級せられしを以て職員、生徒一同祝詞を申し上げたり。暑中稽古の際戸山学校へ行かれた町田生徒監殿の御顔を見る。今日は近頃になき寒さにて裸なるを得ずして軍服を用う避難演習行われたり。雨少々降る中に行われたれども、あまりかつどうせざりしため、濡れ寒く、とんだ目に遇いたり。
我遂に風邪となる。夜ひえたならん。三日間続きたる取締も終り、責任の重きも一時に心より抜け、のんびりとなりたり。防毒に就き生徒監殿より話を聞く。怖ろしと思いし「ガス」も今日一時に転換し、怖しからざるものと変化したり。夜の自習時間に虫の大軍来りしため四十分余なすこと能わずして虫をのぞくに務む。今日は振うる如き日なりき。
熊本発五時五十一分と決定。三十一日には外出なし、みやげを買うつもりなり。部長殿訓話後初めて午睡あり。随意運動時には二千なりたるが、生徒監殿の体操あり。天候は昨日に比し、暖く三十度程あり。暑中稽古は一年は今日にて終了したり。夜又虫の大軍来り。二、三日前の風邪のことなるが鼻つまりて苦し。然し鼻のみにて他は大丈夫なり。なお養生せざるべからず。
午前中、暑中稽古おさめ会行われたり。二、三年の方は試合をなし、一年は見学なりき。やはり下手より上手に従い、目立ちたり。我も、上手となりたし。午後は一時より防空演習行われ、引き続き、飛行機の高度の見方に就きての訓練あり。九七式軽爆約二十米の超低空飛行を行い次々と二千米におよぶ。二十米も下りたる飛行機は我見たことなかりき。搭乗者の通信筒を落したるは始めて見るなり。後焼夷弾演習、夏季休暇に対する訓育学科等あり。焼夷弾は物すごき物なり。然し怖るゝに足らん。午後は数多の行事あり忙しさ此の上なかりき。然し愉快にして一方謹張したり。
〔nagajis:久しぶりに町田生徒監の印〕
マンモスは骨のみか肉が氷りて残りたるか二つの議輸が分れ、其の結果は遂に不明となりたり。三時間の授業も漸く終り、帰省準備の午後となりたり。何やかやと持参する者あり。十三時より十分間、帰省謹告あり。体重測定なしたるが、五〇〇グラム減じ残念なり。今日定めたる予定通り必ずや行わん。
外出なし荷物を小荷物にて佐賀に送り、後上通りにて買物をなす。今日は一日のんきに過したり。午睡もなし今夜は必ず二時半に目ざまして見せん。十九時半消灯二十時消灯の予定なり。今日・昨日「点呼」の夜と共にたのしき一日々々なりき。休暇にて中期の覚悟を一転なし帰る予定なり。