nagajisの日不定記。
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今号のREAR TYREで予告していた件。やや写真過多なのはご了承願いたい。
小生、FujifilmのFinepix S9100というデジカメを使っている。Finepixは6900zの頃から愛用していてそれなりに好きだ。画がいいとか発色がどうのとかハニカムCCDの威力云々とか言うより、使い勝手や映り方がわかっているから、なんとなく惰性で使い続けているといったほうが事実に即している。少なくともデジタル一眼以下コンデジ以上という中途半端な立ち位置のデジカメである。(そういうのが好きなんだけどね)
で、現在メインで利用しているS9100。ふっと気づいたら電池蓋のツメが折れていた。気づいたのは先月半ばのことだ。
丸で囲んだところと矢印の位置に蓋固定用のツメがある。このうち赤丸のところにあるツメが折れている。根元のツメが残っているので蓋が閉まらないことはなく、事実折れていることに気づかず長い間使い続けていたらしい。
元の形はサブ機として残してあるS602を見てもらうとわかりやすい。グリップ先端に近い位置にツメがあって、ここに電池蓋裏の凸ツメが引っ掛かるようになっている。蓋を倒してスライドさせて固定するわけだ。そういえばS9100の電池蓋は購入当時から頼り無い締まり方をしてたような気がする。カチッと閉まらないというか、フシャッと閉まるというか。不完全な位置で閉めようとして折ったのだろう。
ともかくこの状態だと微妙ーに隙間ができてしまう。何かの表紙でスルッと蓋が外れたりもする。データ保存中に外れたりしたら一大事だ。それだけでなく、埃が入りやすいに違いないし、残りのツメには余計な力がかかっているわけで、これが折れてしまったら一巻の終わり二巻発行未定な状況に陥る。てな感じで、一度気づいてしまうと余計に気が気でならなくなる。
本体側のツメなので少々ややこしい。ネットで調べれば同様の破損が多いようで、修理に出せばボディ交換となり諭吉さんと一葉さんが一人ずつ飛んでいってしまうという話だ。当然そんな金はない。
どうしたものか。先月号の追い込みの最中にいろいろ考えた。もちろん考え続けていたわけではなく、合間合間に思い出しては意気消沈しつつ対策を練っていたわけだが、折れた箇所をつらつらと眺めていて、ふと解決方法を思いついたのだった。
TACTICS
鉄板か何かでツメを作り、電池室の壁に沿わせて埋め込めばいいのではないか。
幸いなことにツメの位置は電池室のすぐそばだ。室の壁辺りからツメを出せばちょうど届きそうな感じ。薄い鉄板でツメを作り、根元の面積を大きく取って、瞬間接着剤で貼付ければ何とかなるだろう。鉄板の厚みは電池室の壁を削って吸収すればよい。
問題なのは、薄くて硬い(ツメになるような)鉄板、というのが思いつかなかったことだ。この間のねじりまんぽで使ったステン板の切り残しがあるが、こいつは柔らかすぎて使い物にならない。厚みのある鉄板を使って強度を出す手もあるだろうが、電池室の壁を削る量が増えてしまう。何かいいものはないかと考えることさらに2日、オペ中にふっと目に止まったものがアレだったのだ。
ここでダブルクリップが登場する。彼は鉄板だった。あれば不用意にくにくにやって遊んでしまいたくなるダブルクリップの靭性の高い本体部分。使えるのではないか。しかも限りなく薄い。ノギスが彼を測定したところ0.4mmという実測値を得た。
硬いということと加工しやすさとは相反する。特に電池室のカーブに沿わせて曲げること、およびツメ部分の折り曲げが可能なのかどうかに一抹の不安があったが、やらねばこちらがやられるのだ。というわけで本日、作業にかかったわけである。製作にあたっては100円ショップで大形ダブルクリップを購入しておいた(写真のもの)。材料費消費税込み105えん。5個入りだから幾らでも試行錯誤できる。
電池室の曲線に合わせて曲げる作業には工夫が要る。ペンチで曲げるなどもってのほかだ。ここは極めて原始的な方法を取った。
次にドリルの刃が登場する。彼は直径10mmの穴を開けられる大型刃であったが彼が収まるほどの大型チャンクを持つドリルがなく実際にドリル刃として使われたことはない。にもかかわず工具箱の中に入っていた理由はわからない。そのうえドリル本来の役割果たすために登場したのでもない。哀れである。
TACTICS
合板に溝を彫り、その上に鉄板を載せ、さらにφ10ドリルの刃を載せてハンマーで叩く。叩く叩く。いやもう叩くことしか考えられない位に叩く。そうすれば限りなくφ10に近い曲面を持つ鉄板が出来上がる。
に違いない。
ポンチ絵ではきれいな曲面を描いている合板の溝だがこんなにきれいには彫らなかった。手を抜ける所はとことん手を抜く主義のnagajisだ。
鉄板はあらかじめ大きく切り出しておかないとこの作業の時に大変な思いをする。本来ならもっとスマートなやり方なり固定法なりがあるはずなんだが手近にある道具ではこれが限界だ。
手を痛めながら叩きに叩いて曲面を得た。しかしやはり端のほうまできれいなカーブにすることは難しい。なので最もうまくいった場所を切取って使うことにする。
次の問題はツメ部分を曲げる作業だ。できるだけ曲線を保ちながら曲げるため、φ10ドリル刃と一緒に万力で挟んでハンマーで叩き曲げることにした。しかし一回目の試行では見事に失敗。素材の靭性が高すぎて、直角に曲げると折れてしまったのだった。調子に乗ってポカポカ叩いたのもいけなかった。ここはじっくり、45°曲げて、少しずらして、また45°曲げて、というような微細操作が要求される(しかも万力で)。
曲げたものを再度φ10ドリルとハンマーで整形。折り曲げた箇所はさすがにうまく曲線になってくれなかったが、サンドペーパーで磨いたり何とかしたりして、ブツが出来上がった。
この曲線を出すのにどれだけ苦労したことかブツブツ。
で、実際はこんなに長いツメは要らない。あとは現物合わせでツメの長さを合わせてやればいい。ここからが大変だ・・・。電池室の壁は恐らく1mm程度、下手に削って穴開けたりしたら元も子もなく、また取り付けたあとでツメ長過ぎた&飛び出過ぎたなんていう事態になっては目も当てられない。一日仕事を覚悟した。
・・・そのまえにちょっと合わせてみよ。と思って差し込んでみたところ。
すっぽり入ってしまった。
曲線が思った以上に電池室にフィットしたうえ、素材が薄かったおかげで、電池と電池室の隙間にスッポリ入ってしまったのだ。しかも外れない。あわわ。
・・・待てよ。これ、このまま使えばいいんじゃね?
ザ・発想の転換。ツメを着脱可能な部品にしてしまえばいい。電池交換するたびに差し込んでツメにする。この状態、電池室と電池によってかなり強固に固定されている。要は電池蓋根元のツメに負担がかからなければ良いのだからこの程度で構わないのだ。無くしそうにも思うが電池交換なんてそうそう慌ててするものでもないだろう。
・・・というわけでイキアタリバッタリズム全開のままフィナーレへ。ツメの長さを現物当たりで調整し、しっかり閉まるような長さにして、完成した!の図。色を塗ったらいかにも当初からこの姿だったかのような錯覚を与えかねない(訳がない)
蓋を閉めた図。冒頭辺の一枚と比べていただきたい。
同様の症状でお悩みの方。これで直るよ。
素晴らしい。売れ。
材料費一個20えんだからなあ・・・儲からないかも。<br>そのまえにs9100/s9000使ってはる人が居ないような予感。<br>とりあえず欲しい人はメールくださーい。