nagajisの日不定記。
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先を越された。くやしい。
酒井のりピー逮捕を契機として自称nagajisを思いついていたことを発見し、そこに奇妙なポテンシャルを感じたので記念カキコ。
久しぶりに読み返して、よくまあこんなの書いたなあと感心した。よくまあ調べたなあと思ったことは何度かあったけれども。文章の内容を一辺たりとも覚えていないのは痴呆なのか、それともアウトプットで目的を終えているからか。容量をとるデータを外付けHDDに移して削除するようなもので、そうでもしないと脳の容量が足りなくなる。
しかしそうやって作った空き容量にいまは古煉瓦の情報が整理せずに突っ込んであって、それがまた全容量を逼迫しつつある。早く片付けねばと思う一方、それをし終えたら何も残らないのではないかという危惧もある。長く楽しんでいたいのだろう。だがなあ・・・。
クラーク記念館の基礎部の煉瓦と壁部の煉瓦は厚さが2mm違う。
基礎部分はわずかにコロビをつけてある。それをコロビ面に対して垂直に積んであるものとばかり思っていたのだが、よく考えたらそんなことをするはずがない。コロビの角度に合わせて成形した煉瓦を使ってあるらしい。整形ではない。表面は普通の煉瓦なので。
煉瓦小口を斜めにしている分厚さが長くなっているのだ、と言えればわかりやすいのだが、厚いのは壁部のほうなので(=1.9寸、基礎部=1.75寸)、厚1寸7分くらいのを斜めにしているのではないか。
とはいえ建物自体は吋単位で作られている模様。基礎の隅石も壁の隅石も厚 10 inch で、その上下の目地を合わせて 10.5 inch 、そこに煉瓦4段+目地5段。煉瓦厚は 2-1/4 inch で、目地 0.25 inch = 1/4 inch、(2-1/2)*4+1/4なので煉瓦部は10.25inchになるのをうまくごまかしているのではないか。石10inに煉瓦4段目地3段とすると目地厚が1/3inch計算になってなんか旨くない。
それに対して彰栄館や有終館など初期の建物は厚1.75寸~1.8寸で、目地込2寸を志向&優先している。それに対して隅石6寸なので隅石の目地のほうが詰まっている(隅石1段+目地1段に煉瓦3段+目地3段を突っ込む)。隅石に合わせるのか、煉瓦を優先するか。
目地込み2寸としたほうが施工は容易だったんじゃないかと思うのだが、結局は隅石との取り合いをどうするか問題は解決しない。ただM14逢坂山隧道でも目地込み2寸が始まっている。それがM25頃にはインチに戻っている。D.C.グリーンが特に日本人のために意図してそう設計したのか、並形厚がすでに流行していたためにこうなったのか、が気になるが、解決のしようがない。
縦目地の余地がない 9 x 4-1/2 x 2-1/4 ins, の煉瓦のことを調べていて発見した。外国の古い技術書を読んでみても、縦目地の幅を別に取ることをしていない。1093年初版のGilbreth "Bricklaying system"なんかは 8 x 4 x 2 ins. 煉瓦を使ってすべてを説明している。一枚半の壁も(当然目地込みで) 12 ins.とする。+1目地分の扱いをどうするかなんて書かれちゃいない。
この本が 8 x 4 x 2 ins.を採用しているのは、それが平均的な寸法だからでもなんでもないらしい。世の中には 9 x 4-1/4 x 2-3/4 ins, が多いことももちろん知ってるけれども。みたいな書き方。この本が "煉瓦の積み方”をいかに効率よく行なうかを説く目的で書かれたものだから、というわけでもないらしい。設計者のほうでは縦目地込みで壁厚を決めたり煉瓦の必要数を算出したりしたものかとも思ったが、だったらその+1目地分厚い壁のことに触れていておかしくない。
目地厚さは水平目地の厚さで決まる。仕上がり寸法に関わってくるのは水平目地の厚さ、すなわち煉瓦の厚さ。東京形なら1枚半は7.5+3.6寸=11.1寸≒11寸、並形は7.4+3.5=10.9寸=11寸。それが煉瓦建築の大前提であるらしい。そのことを明示した日本語の技術書はないんじゃないかしらん。
だからそう、縦目地を込めない 9 x 4-1/2 x 2-1/4 ins, に違和感を覚え、縦目地のぶんも折り込みつつ、一段2寸になるような煉瓦が並形であったのかも知れない。ここで水平目地2分とすると7.4x3.5では縦目地が4分で2分広くなる。水平目地も4分とすれば5段11寸になり得るが、そんな広い目地もあれば非常に詰んだものもある。6mmくらいの差はたぶん問題にならない。
そうか、詰んで詰んだら一枚壁の内側が飛び出るパターン。
並形的な煉瓦のほうが、目地の調整で壁厚ジャスト11寸にすることもできる。東京形では(4段9寸でいくなら目地2.5分になることもあって)11寸にすることは難しい。かといって12寸にもできない。