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旧道倶樂部録"

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2012-06-22 [長年日記]

[D] 6/22

そこに古い橋があることは知っていたけれども、大したものじゃないだろうと鷹を括っていた。近くを通るからついでに寄ってみよう、程度の気分で行ってみたのだ。

工場地帯の真ん中を流れる人口河川にその橋は架かっていて、川の両岸は高い防潮堤が築かれている。その壁づたいにつけられた無機質なアスファルト舗装を歩いていく。やがて道は護岸を離れて右へ曲がっていき、そのカーブの端から、工場裏へ入っていくような気配の細い路地が分かれて、なお壁伝いに伸びていく場面になる。橋にゆくなら後者を行かねばならないだろうことは地図を見なくてもわかる。

小路に入って幾らも行かないうちに橋が見えてきた。意外なことに和風高欄の人道橋だった。朱に塗られた高欄が若干弓なりになって架かっている姿は場の雰囲気にそぐわないが、ずいぶん色褪せて下地のクリーム色が浮き出ていたり、 床板の一部が朽ちて垂れ下がっていたりするところは、場末な感じに似合っていなくもない。

橋は防潮堤の壁よりもさら高いところに架かっていて ・・・ ・ ・ ・プールのスタート台を橋台にして、その上に桁を渡してあるのを、プールサイドの床視点で眺めているような感じだ。高さばかりが妙に目立つ。けれどもそのせいで橋全体を見渡すことができる。廃橋なのだろうか。登れるだろうか。登っても渡れないんじゃないか。そんなことを思いながら階段をあがった。あがって、驚いた。

欄干の色の掠れがはっきり見て取れるほど明るかったはずなのに、いつのまにか夜になっていて、対岸でネオンサインが点いたり消えたりしていた。その点滅が川面に映っていた。ゆらりともしない川面に映し取られたネオンサインは、まるで川自体にネオンを仕掛けてあるかのような鮮明さだ。赤青黄の三原色にネオン特有のはしたなさが感じられないのは、反射というワンクッションを挟んでいるせいだろうか、それとも絶対量が少ないせいか。賑わしさの中に一抹の寂しさが紛れ込んでいるように見え、その理由を考えるために暫く眺めていたくなるような輝きをしている。

何より背景の色が美しくてはっとさせられた。真っ青に晴れ上がった五月の空の天頂を、限りなく彩度を落として黒に近づけ、液体にして流し込んだかのような、 澄み渡った黒と紺と碧のグラデーションだ。もし飛び込めば、水に触れることもなく、そのままどこまでも果てしなく落ちていきそうだ。 そういう空とも闇とも見分けのつかない水面を背景にして、色とりどりのネオンが咲いている。返照で橋がぽっかり浮かびあがって見える。こんなに美しい色の取り合わせは現実でも見たことがない。今思い返してもそう断言できる。

現実にはないが・・・・・・似たような美しい紺色の夜を、 以前にも夢で見たことがある。その後に取った行動も全く一緒だった。この鮮やかさを写真に撮りたいと思った。 ただちに撮らなければならないと思った。急がなければ、夜の帳が閉じ切って、濃淡の組み合わせを崩してしまうだろう。

S200EXRを取り出して構えた。何枚か撮った。が、感度がISO100のままじゃなかったか? 100ではこの色は出てくれないはずだ。せめて200、あるいは400でないと。EXRを効かせないと。

そう考えて、慌ててダイヤルを回したところまでは覚えている。

今日は胸が痛くなるような夢ばかり見た。静かに眠りたい。


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