nagajisの日不定記。
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一昨日、チャットにて「近世以前土木構造物調査」についての話をさせていただいた。4月2日に岡山大学の馬場研究室を訪ねて直に伺った話を伝え、また、たたき台となる資料(Google Docs&Spreadsheetsを使ってnagajisが作成中のもの)をup。
伺った話の概要は以下の通り。
これを報告し、チャットでのご意見を踏まえて、ORJとしての方針はこんな感じ。
という訳で今後、ORJ名義であちこちにメールをすることになると思う。その時はどうぞよろしく。そして一つでも多く、物件をお寄せください。
最後に、このプロジェクトに参加する意義。確かに道標なんかはそれこそ道の数もあって大変だろうし、個々の道標についての情報はリアルにもネットにも沢山あるけれども、どうしても「個々の情報」でしかない現状。それを集めて俯瞰して初めてわかること、そうしないと判らないことがある。近代土木遺産のリストのように。それを作るのに参加できる、という機会なんてそうそうないんじゃないかしらん。特に今は人海戦術的物量作戦が求められていて、自分達のようなミーハーな者でも充分に働ける余地がある。
さらにこんな話も。平成16年に始まった「景観法」によって、近代土木遺産リストが真価を発揮し始めたそうだ。景観法を採択した市町村では(景観法が古い建築物・土木構造物も範囲に含んでいるので)そうそう簡単に取り壊したり、意匠を台無しにするような悪改をすることができなくなった。改変にはNPOなど第三者の諮問?が必要(←ここは法庫をチラ見しただけの記憶で書いているのでちとあいまい)。なので、古くて貴重なものと「価値づけした」土木遺産リストに物件が載ることが、その物件を改変・破壊から守る抑止力になっているという。だから、自分達が「いいなあ」と思うものを積極的に上げることはそれを守る第一歩になるわけだ。但し景観法は自治体が採択不採択を選択するものなので、町がそれを採択しないと根本的には変わらないのだが。私個人は可能性のほうを信じたい。
脈絡などない。私の周囲のごくごく限られた仲間内で「奇妙なポテンシャル」という言葉が使われる。確かに面白そうな事象なりアイデアなりなのだが、それ以上どう発展させることもできず、かといって打ち棄ててしまうのもちょっと惜しい、そんなもどかしさを伴うような何かを指して「奇妙なポテンシャルを感じる」と表現する。以前書いたことのある「折り箸」などはその最たるものだし、年始の「蛸焼き新年会」をコードした畏怖〜善〜エロス畏怖構文も元はといえば奇妙なポテンシャルとして提示されたものから始まったものだ。
自分はなぜ、そこに「ポテンシャル」を感じたか。判るようで判らないことが多い。全く個人的な嗜好だろうと割り切ることも多いが、実は意外と人類普遍の共通感覚が潜んでいて、人文学的に価値ある秘密が隠されているやも知れぬ。そういう詰まらぬ詮索が大好きなので、今後この部録"でも定期的に考察を加えてみたいと思う。あくまでも賑やかしのつもりで。賑やかしだからな。
送信者 奇妙なポテンシャル |
先日見た踏み切りの表示。先に断っておくがレタッチだ。「くぐるな」と書いてあるのを見て瞬時に「ぐぐるな?」と読んでしまった、いわゆる空目。しかし実際にそれを作ってしまったところ、画像それ自体に奇妙なポテンシャルを感じてしまった。これはGoogle依存が進行しつつある現代人への警鐘ではないのか。あらゆるものを取り込んでインデクス化しようと企む巨大組織・Google。急いでいる踏切の前で、いつ電車がくるかを携帯でググってしまいそうなほど、我々はGoogle依存症なのではないか。わざわざGoogleを経由せずとも前を見、耳を澄ませば判ることだろうに。ネットを捨てよ、町へ出ようーーーそして遮断器はぐぐらないでねーーーという天啓。あり得るのではないか。
送信者 奇妙なポテンシャル |
同日、別の場所で見た看板。コンビニの駐車場に建てられた、よく見る類の看板である。奇妙なポテンシャルを感じたのはその内容ではなく右下の絵だ。
ぼんやり見ていると「ははあ車の騒音害のiconだな」と見過ごしかねないが、よくよく見ると決してそんな内容にはなっていない。重力を無視した有り得ないポーズで驚きを表現しようとする男性キャラの顔は笑っている。騒音に憤るというよりもむしろ車の恰好良さに驚喜する少年のようにさえ見える。背景のバクダンも実は意味を成さない。駐車した車が人にぶつかることなど有り得ないからだ。騒音害を撒き散らす車との遭遇を表現しただけとも取れるが、にしても喜ぶ男性キャラの顔が全てを無き物にしてしまう。元の黙阿弥である。
もちろん、作者の言いたいことは汲めるし、汲んだつもりだ。そうでなければただのVowでしかなく「奇妙なポテンシャル」を感じることもない。なのに感じるこのポテンシャルは何だ。書き連ねても尽くせぬ思い、表現し切れないもどかしさ。男性の服に貼り付けられたビニールテープが驚く程看板の色にそっくりな点も見過ごすことができない。そのそっくり具合いが奇跡的ですらある。