nagajisの日不定記。
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以前は何かの構造物を構成していて、それが解体され単体となって転がっている一個の煉瓦、を言い表す言葉を探している。相応しい用語がありそうでこれというものが思い当たらず、仕方なく「転石」という言葉を使っているけれども、これでいいのかどうかは常に迷っていたりする。
辞書的には「転がっている石。山腹や河原などに点在する石」だそうなので悪く無いとは思う一方、専門用語としての「転石」は「河川または氷河の作用で他の場所から移動してきた巨礫」らしいので、公の場で使うとちょっと齟齬を来しそうである(そもそも公の場で使う機会があるのか?という疑念は脇に置いて無視しておく)。だからといって「単体煉瓦」というのもなんだかなあである。構造物からまろび出てきたという感じが出ない。だったらまだ「遊離煉瓦」のほうが近しいと思う。
その、「まろび出てきた」という現象?を言い表す言葉にも困っている。こういう場ならそれで構わんだろうけど、ちょっともったいぶらなければならないような場では使えない(使ってもnagajisの気品が下がるだけであるが)。いろいろ考えあぐねた末、字面のイメージの組み合わせで「胎出」とかしたらいいんだろうかと考えたんだが、そういう言葉はないようだ。勝手に使っても自分は困らぬが「鬼胎」を反省した司馬さんに習って避けておくが吉かも知れぬ。だったらまだ、「母胎から生まれ出ること。誕生すること。」の意という「出胎」のほうが使い勝手がよろしい。釈迦八相のひとつというのも格好いい。
そういう専門用語がすでにあるならそちらを使うに越したことはない。御存知の方があれば乞うご教示。
子供の頃、ピザは憧れの食べ物の一つだった。確か「グーニーズ」か何かだったと思うがアメリカ映画の中で旨そうにピザを食べているのを見たのが始め。食べたくて仕方なかったが地方の小邑にピザ屋などなく今のように冷凍ピザが売っていたりもしなかったから、見よう見まねで「ピザトースト」を作って我慢したものだった。
その「ピザトースト」もたいへん質素なものだった。まずもってピザソースというものがなかったから、ケチャップで代用するしかなかった。ピザトーストのためだけにピザソースを買ってもらえるような家ではなかったのである。同様の理由で「チーズ」も省略されることが多かったし「サラミ」などもってのほかだった。結果、マーガリンをたっぷり塗ったパンに、玉ねぎのみじん切りとかピーマンの輪切りとかを載せ、ケチャップをにゅるにゅるかけて焼いただけの代物を「これがピザトーストなのだ」と自分に説くごとくにして食べていた。大学時代にもこの「ピザトースト」もどきを半ば主食にしていた気がする。
今でもときおりピザトーストが食べたくなる。そういう時に以前の反動としてピザソースたっぷりチーズたっぷりな本当のピザトーストを食する、というのが常人の行動だろうと思われるのだが、実際にそれをやってみた時、なぜか全然納得できていない自分を発見して驚くのである。お前が食いたがっていたピザトーストはこれなんだぞと言い聞かせても効果が無い。ケチャップのきっつい酸味がないと物足りない。よほど刷り込まれているのだろう。ピザソースの価格の高さ(といってもたかが知れているのだが)も多少は足を引っ張っているようだ。あんだけしたのにこれっぽっちしか入っていないうえに何だか物足りない味だというところに心からの納得ができないらしい。
チーズだけは、奮発する。まんべんなく全面積を覆うくらいに盛って焼く。それが無上の贅沢に思える。安い安い幸せである。
サラミは未だ試したことがない。