nagajisの日不定記。
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煉瓦を天日乾燥する時に斜め交互に積むのを、アメリカでは"hack"と呼んだそうである。積んだ山もそうだし積むこともhackという。なんかかっこいい。でもhackはもともと斧などでざっくり何かを作ることをいうそうで、ハッカーのhackはそこからの派生であるようだ。それからhackの一列は中指が一本入るくらいの間隔で並べたそうで、そんな狭くていいんか? と思ってしまった。乾燥している地域ではそれで充分なのかも知れない。日本だと湿度が高すぎてより日当りを良くし風通しを良くしなければならんかったんだと思う。
あと、アメリカでは野焼きで煉瓦を焼くことが多かったようだ。green brickをhackして巨大な壁のようなものをつくる---ピラミッドと表現するとちょっと合わない感じ。薪を突っ込んで焼くアーチ開口部が下端に並んでいて、それだけしかない壁というか、イスラム辺の中東の古代寺院を連想させるマッシブな構造物である---。そうしてその周囲を焼いた煉瓦で一重に取り囲む。この煉瓦壁には焼成口しか隙間がない。そうやって焚口でがんがん焚く。
日本でも野焼き製法がなかったわけではないと思うが(確か別子の最初期の煉瓦は野焼きで作られたんじゃなかったっけか)定着しなかった。昔の工学書でも野焼きのやり方を詳しく述べたものがない。それは多分、瓦製造の歴史が長く、だるま窯や登り窯がすでに存在していたので、それを流用するほうが手っ取り早かったからだろう。&、当初はそんなに煉瓦の需要がなかったからだるま窯登り窯で生産可能な数で間に合ったんだろう。明治も半ばになって数が求められるようになる頃にはホフマン窯が普及し始めるのだし。
土質も関係あるのかな……。陶土だと高温で焼く必要があったとか。高温多湿で冬凍結したりもする日本の風土に合う煉瓦を作るためにはそれなりに環境に順応した煉瓦でなければならなかったんではないか。
久慈白糖工場の焼きの甘い煉瓦はsoft-mudで野焼きだったりするのかも知れない。あれ日干し煉瓦のような質感だったもんなあ。京都歴史博物館で見せてもらった日干し煉瓦。雨降ったら溶けやせんかと思うような粗さだった。