nagajisの日不定記。
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午前8時起床。何かにうなされて起きたような気がする。言い出したのは確かに自分だが路上販売がしたくてしたくてたまらんからやろうとしている訳ではない。いやむしろ深夜のコンビニ前で地べたに座り込み雑談している若輩などに行き場のない彼らの哀れを感じたりする位であるから同じような位置に自身の身を置くことなど望みもしないことである。にもかかわらず繁華な梅田の大歩道橋でそれをやろうというのは何も奇を衒ってでもORJ宣伝のためでもない。繰り返すがこれは自身への罰ゲームである。そんな言い訳じみた思い故の気の重い目覚め。
その証拠に、全く準備ができていない。トランク一杯に詰め込んだCDと「どれでも1ツ500円」と書いたメモ用紙しか準備できなかった。「日本の廃道」とは何か、何を訴えようといふものなのかを大書した看板みたようなものすらない。見る側に与えられるのはジャケット表の怪しげな写真と一枚500円という情報だけだ。しかも先行販売告知を始めてから12時間も経たない頃。これでCDが売れれば奇跡としか言いようがない、と思っていた。
ぶっちゃけ、「日本の廃道」という名称に大義さを感じる。もちろんそう命名したのは自分だが、口座開設の折にさんざん小ッ恥ずかしさを感じた挙げ句局の方が臆面もせず「廃道の判子を持って来てくださいね」などと言われたりして己れの不甲斐なさを痛感したものだった。自分が恥ずかしがってどうする。そんなことで世界征服現実への侵攻などできるものか。今回の路上販売はそんな自分に喝を入れるべく決行したのだった。
10時前ころに歩道橋着。いつ見てもだだっ広い歩道橋である。いつもなら人が途切れることもなく流れているが、さすがに暮れも押し迫った31日にもなれば人通りもまばらだ。それをよい事に最も人の通るであろう一隅へ仮営する。というか仮営せざるを得ない。もしここで人通りのさらに少ない階段踊り場などを選んでしまったら負け確定だ。何のための先行販売か。
とはいっても、いきなりトランクの中身をさらけ出す勇気は湧いて来ない。しばらくトランクに腰かけて思案する。ここにきて何かを失うことへの恐れか。なに、所詮自分など1億6000万分の1の存在、10-6のオーダーなんて誤差に過ぎぬではないか。などと訳の解らないことを自分に言い聞かせて座り込む。
それでもなかなかトランクを開けられない。「一つ500円」と書いたメモ帳が実は2004年の春日野道行きの際に持って行ったものであり当時の日記が書かれていることに気づいてそれを読み耽ってしまったりなどする。隣では誰かが流しを始めてしまった。ええい、後れをとってはならん、とさもさりげなくトランクを開けてメモを載せる。
その傍らで逃避暇潰しのつもりで持って来た本を読む。読みながらちらちらと人の気配を感じようとするが、立ち止まる人などいない。当り前だ。ここは大阪、大阪シティ。都会ならではの無関心がかえって自分を安心させる。
ごく希に、立ち止まってトランクの中身を覗き込んでくれる人もあった。しかしそれ以上の何かに発展することはない。自分も「買うてんかー」と追いうちをかけるようなこともできない。ただ黙って本を読んでいるだけだ。さすがにそこまで厚かましくもなれぬ。
読んでいたのは田中冬二の「峠と高原」。大正昭和初期の山旅風情を綴った紀行文だ。心をときめかせるような描写もなければ心に染み入る比喩もない、誤解を恐れずに書けば平板な紀行文で、初めて読んだ時はそれほど感銘を受けなかった。のだが、この今のシチュエーションにおいては絶好の没入対象となり、俳句で言うところの侘寂みたようなものがそこに潜んでいたことを再発見することになったのであった。人の好い馬子の家で雨宿りした話。秋草模様のかすりにまつわる哀話。長野諏訪の秋景色。自分が思い描いていた「戦前」という時代への朧ろげな憧景がシャープ(強)のフィルタをかけたようにありありと構築されてゆく。
そんな現実逃避没入が声によって破られる。振り向けば若い女性が立っていた。「あのう、CDください」。
はあっつ?
そうだった、おれはここへバックナンバーCDを売りに来たのだ。戦前の山旅風情を反芻しに来たのではない。聞けばここを見て来てくださったとのこと。あり得ない。あり得ない故に嬉しい。甲斐があったというものではないか。しかしnagajisは相変わらずnagajisであり財布を開いたまま思わずガッツポーズしてしまったため小銭をばらまいてしまったり証拠写真を撮ってもらうつもりでカメラを渡したら電池が切れていたりとあくまでも愚者は愚者であり続けるのであった。御名を聞き逸れたがそれで良かったかも知れぬ。
ともかくも、売れた。ORJの初めての収入だ。高々500円と笑うなかれ。個人的趣味興味からスタートし、ゼロから構築したものが貨幣という全国共通の価値へ昇華した瞬間なのだから。とっさにこの千円札(千円いただいてお釣り500円)は神棚に飾っておこうと思ったがもちろん自宅に神棚などあるはずもない。あれば既にお目出度いnagajisを飾っているところだ(意味不明)
その後、日本橋に移動した。正直言ってもう目標は達せられているといっていい。一枚でも売れれば成功だと思っていたからだ。これ以上頑張っても・・・という思いはあったが、一度決めた以上はやらねばならない。自分は自分を律することが苦手だ。この機会でなければその悪癖を改めることなく年を越すことになるだろう。
日本橋ではソフマップのある裏通り(自分はあそこをメインストリートだと認識している)で売った。こちらのほうが人通りは数倍し、トランクの中をしげしげと見てくれる人や「これは何?」と聞いて手に取ってくれた方もいた(何故か「風呂はどこ?」とも聞かれた。そんなにみずぼらしい恰好だったか>おれ)。しかし残念ながら売れるまではいかず。まあいい。欲望渦巻くカオスの街で、そのカオスの一部になれただけでも好しとしようではないか。
アンタ面白すぎる(wwwww<br>いや、参った。マジでosz<br><br>つうか路上販売の件知ってたら途中下車して買ったのに。orz<br>(今日は武田尾行ってました)
タグ閉じ忘れてるよ
nagajisさん、お疲れさまでした!<br>売れて良かったですね!<br>でもでも、風邪ひいたりしないようにしてくださいね。<br><br>今年もよろしくです。
rvdkblxw lrof gjxhokcu fyuls gznof ecpjtrblx goplnkhq
てすち。