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旧道倶樂部録"

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2016-07-30 [長年日記]

[独言] 蟻

ふと気づくと流しの上に蟻の行列があった。

我が家はアパートの2階なのだが時おり蟻が出没する。せんだっても開け放しのベランダの扉を通って室内に入ってきていた。冷蔵庫の下に砂糖やら何やらを零しまくっているのでそれを嗅ぎつけてきたものだろうが、にしてもアパートの2階までどうやって入ってきたのだろうと驚いたことだった。最初の一匹はよほどの冒険をしたに違いなく、その一匹の冒険を連連と受け継いで行列している蟻達に敬意すら覚える。人間の文化とか神話だとかもこういう感じで始まり継承されてきたのだろう。

梅雨の終わり際に雨が激しく降り続き、それを境に蟻の姿を見かけなくなっていたのだが、それが本日ふいに再現されているのを発見し、なおかつそれが流しの上だったので吃驚した。前回は冷蔵庫の下あたりで終わっていたのに。しかも今回の行列はベランダを経由していないらしく、閉められた扉の下からモゾモゾ出てきているようでもない。どこからともなく行列が現れ流しの縁を横断している。

縁を横断した蟻たちは流し左手のスペースに置かれてあるまな板の辺りで蠢いている。そこで何かを探しているのかと思ったがさにあらずだった。まな板に放っておいた菜箸を、まるで丸太橋のように利用して渡っていっているのだ。その菜箸の先には昨日切って放っておいたレタスの根株。なんと蟻達はレタスに群がっていたのだった。えええ。蟻ってレタスも食うの。知らんかった。

レタスに甘い汁がかかっているわけでも糖分高めのフルーツレタスでも決してない。一昨日袋から取り出し二日がかりでかたした普通のレタスだ。その根株だ。消費するまでの間に何かに浸したり何かを零したりした覚えもない。ただ切り落としただけのレタスの根株である。当然ながら栽培物だから、天然界には無い旨味なり甘みなりを宿していて、人間にはわからないフェロモン様の何かを漂わせているのかも知れぬが、残念ながら蟻ではない私には嗅ぎ分けられない。にしても最初の一匹はよく見つけたものだ。菜箸渡りまでしてさ。

このまま放置しておくと台所中が蟻だらけになって収拾がつかなってしまいそうな気もするが、レタスに有難かる、もとい蟻がたかると云う事象は初めて見るものである故、もうちょっとだけ観察してみることにする。放っておいたら零した砂糖とか飛び散ったソースとかを綺麗に片付けてくれそうでもある。

流しの縁を行き来している蟻達。眺めているといろいろな発見があって面白い。彼らの旅の終着点であるレタスは流しの左手にあり、そこへ向かって右手からやって来ている訳だが、レタスを賞味して帰って行こうとしているやつと今から行こうとしているやつとがこっつんこっつんぶつかりつつ流しのへりを渡っていくさまは見ていて飽きない。ぶつからずにすれ違っていくということがないのはちょっと不思議でもある。まさに童謡に唄われたとおりだ。そのさまを見て会話をしているように見えるのはきっと万人共通の発想だろう。「レタスあっちやで」「旨いけ?」「(゚д゚)ウマーやで」「マジで?!はよ行こー」。時おりこっつんの勢いでか来た方向に戻ってしまうやつもいる。レタス手に戻っていくのならまた食えて宜しいが右手から来て右手に帰って行くやつは哀れだ。君何しに来てんねんと。

流しの途中にちょうど蟻の大きさの黒いゴミが落ちていて、蟻はそれにもぶつかっていく。通りすがりに挨拶をしていくかのように。蟻が何度もぶつかるものだからフェロモンが移ってしまっているのだろう。

右手には調味料置き場にしている板が渡してあるのだが(流しの槽の奥行きに幅20cmほどのコンパネ材を渡してある。一応見た目と防腐を考慮して柄もののビニールクロスを張ってある)、蟻はその下にできた数ミリの隙間を通ってやってきている。この板の右手奥のあたりに蟻行列の湧き出づる場所があるはずなのだが、流しの端1/4ほどを覆い隠している板のためにそれを特定することができない。板の下からひょいと現れ、つとととと縁を渡っていく、帰りの蟻とぶつかりすり抜けていく、帰って行く蟻が板の下に消えていく。まるで板の下から行列が生まれているように見える。その光景はモブ役の俳優が舞台の袖袖を行き来しているかのようでもあり、しかも個々思い思いに動き回っているから一匹一匹に注視しても飽きない。美しい風景を「まるで絵画だ」と褒めそやすような逆輸入の例えだが、ジブリアニメのモブシーンみたような感じだ。

蟻はレタスだけでなく菜箸の先端にも多数たかっている。昨日これで炒め物をしたからその汁気油気を舐めておるのだろう(それが彼らの大目的かとも思ったのだがその下に敷かれているレタス株にも多数集っていて菜箸組よりもじっくり食している様子である)。この菜箸は川上村の物産展で購入した栗の木の菜箸である。腐りにくくて宜しいと紹介され、確かに酷使に耐えてくれているのだけれども、先端がどんんどん丸くなって使い回した爪楊枝のごとくになってしまっている。舐める序に齧り削ってくれないだろうか。ちなみに同じ時に購入した木べらも栗製である。どちらも粗削りな素っ気ないやつだが丈夫なことには及ぶものがない。蟻もまさか栗の木だとはご存知あるまいて。

しつこいようだが翌日朝に更なる発見があった。早朝に目が覚め、自販機のコーヒーを買いに出て、いまだ続いている蟻行列を眺めつつそれを飲んだのだが、飲みさしの缶を行列のそばに置いておいた所、その缶に生じた結露に蟻集りができた。別にコーヒーをこぼしたわけでもなく、缶の冷たさによって凝集した水滴を蟻達は舐めているのだった。きゃつらは水分を欲してレタスに集っていたのだろうか? それにしては流しの槽の水滴には目もくれておらなんだが。

昼前に外出し、戻ってきた頃には空き缶にも、どころかレタスにも菜箸にも蟻は居なくなっていた。日中の暑さで乾涸びてしまったからだろうか。日が落ちた今は1匹2匹モソモソと迷走しているだけで、今朝までの行列が嘘か幻のように静かになっている。

これで心置きなく流しが使えるぞ、と思ったのもつかの間。彼らはターゲットを移しただけであったのだった。今度は冷蔵庫の上に置いてある小麦粉に集り始めている。水分の次は粉もんか。君らの好みはようわからん。しかし実際のところは小麦粉が目当てではなく袋の外側についたベタベタした何かであるようだった。小麦粉の袋(日清製粉のふつうの小麦粉だがビニール包装でチャックがついているやつである)の口が開いているわけでも口周りの零れた小麦粉を運び去っているようでもない。ただ表面をわさわさと歩き回っているだけである。これ、砂糖と小麦粉を見間違えてたりしたら面白いのだが。本物の砂糖は流しに渡した板の上にある(タッパーに入れた状態で)。封はしていないから気づかれたら全部持っていかれるかも知れぬ。


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