nagajisの日不定記。
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イギリス積み。長手の段と小口の段を重ねる。小口段の末端は、一つ内側に煉瓦を縦半分に割った役物(“羊羹”)を挟むのが本式とされる。
末端の処理に羊羹を使わず、7:3くらいに割った煉瓦(“七五”)を使うこともある。七五で処理した場合は特にオランダ積みと呼ぶこともある。
どちらも煉瓦を割る手間が必要だが、『建築学講義録』曰く、羊羹のほうが作りやすい利点があるという。煉瓦は運搬中に欠けてしまうことが多かったので、そういう欠け煉瓦を加工して役物を作るのが経済的だが、羊羹は元の小口の1/2が表に出る=その面に傷がなければ羊羹に作ることができた。小口1/2さえ綺麗であればよい。他面が欠けていても壁の中に隠れるので問題ないわけである。いっぽう七五は小口全面と長手の七割の面積が無傷である必要がある。羊羹よりも広い面積が無傷でなければならない。
また、羊羹をうまく割ることができたら、一個の煉瓦から二個の羊羹が得られ、それで小口2段を仕上げることができる。七五で処理しようとすると八個の煉瓦を割った上に1/4サイズの屑煉瓦が八個出来てしまう。無駄である。
表積みに化粧煉瓦を使う場合はこれが結構効いてくる。羊羹で積んだほうが化粧煉瓦を無駄使いしない。
後年になるほどオランダ積みが増えるような印象がある(この印象が正しいかどうかは証拠はない)。煉瓦価格が低下して無駄に使っても気にならないようになったのだろうか。あるいは七五の割り方を微調整して煉瓦サイズのばらつきを吸収するようになったものか、と考えてみたりもしたが、煉瓦を積む時はたぶん角から積んでいくだろうからそういう吸収を予測して積み得るとは思えぬ。