nagajisの日不定記。
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「愛のトンネル」の傾斜した区間の天井の煉瓦は小口の角を打ち欠いて使ってある。ぶっといL字形というかなんというかな形状。側壁は鉛直方向直角に(通路の傾斜を無視して水平に)積んである。スプリングラインは通路の傾斜と並行。それより上のアーチの煉瓦(小口巻)はことごとく打ち欠いている。はじめスプリングライン際だけかと思っていたがかなり上の方でも欠いているやつがあるようだ。
ガイドさんと検討したときにはわからなかったが、観音崎公園を歩きながら考えていてやっとわかった。ヴォールトの煉瓦もたぶん鉛直方向を向いて積んである。そう積まないと坑口のアーチがきれいにならない。もし普通に小口積みで巻いたら末端を削るなりなんなりの処理が必要になるが、仮に削ったとしても競り合わない煉瓦の断片が生じるうえに煉瓦形状が揃わなくなる。長手積みなら適当に鉛直に削ってしまえば済むだろうが、ここのアーチ端は2枚厚のフランス積み的煉瓦巻二重のアレなので長手が多数露出する。その面を垂直に巻いたとして、それより奥も同様に続けていこうとした結果と思う。
くそう!図が描けねえのがもどかしい!
そうか、末端はフランス積みだがヴォールトは小口積みなんだ。そこに連続はないはず。連続してたら削ったやつが使われているはずで、そうなってはなかったはず。この末端の処理、写真に撮ってなかった気がする・・・(うん撮ってなかった)
この欠きはヴォールト端のような薄い目地で積む場合には必要になる。理論的には必要になる。けれど結局はすごく厚い目地にしてあって意味をなさなくなっている。むしろ目地厚さが全部揃っているように見えるように打欠いたとかだろうか???
切石は厚9寸で、そこに厚2寸の煉瓦4個をはめ込んでいるので目地が1/4寸なんてことになっている。なおかつ切石はおそらく日本古来の発想で目地材を使わずに積んでいるためその上下の煉瓦4個の端の目地との取り合い?が合わなくなってしまっている。それを取り繕うためか極薄の目地で繋いでおいて表に見えている部分だけ削り取って3分の目地を塗り込んであったりする。石との取り合いの難しさに加えて見た目調整のための目地切のせいで表面で図る煉瓦寸法がすごくまちまちになってしまうようだ。本来は7.5×3.6×2寸の東京型であるはずなのだ。
東京型+厚9寸の切石を使い続ける限り切石との取り合いに悩まされることになる。目地も極端に狭くなる。それを嫌って東洋組には少し薄く作らせたのではあるまいか。由良要塞の初期の砲台とか。東洋組の煉瓦(猿島煉瓦壁)は57mm前後を示すものが多かった。
でもあれだな、M27の則で東京型選択したくせに切石厚は9寸じゃなかったかっけか。目地を使ってたんだっけか。これも帰って写真見ろ強い子のミロ。