nagajisの日不定記。
本日のアクセス数:0|昨日のアクセス数:0
ad
先行カウントダウンするうえに奇妙なポテンシャルだ。悪いか。
朝晩が涼しくなり人恋しい季節になると昔の話を思い出す。ちょうどこれ位の涼しい晩に、I氏と二人で野宿したことがある。
確かあれは自転車部OB会のOBランの下見だったと思う。初めて北摂でOBランが開催されることになり(というよりも開催させたのは私らであったのだが)、あの辺りでは有名なYH・玉泉寺のキャンプ場に、二人して前泊乗り込みしたのだった。
何しろI氏と私である。やることなすことが常に斜め上だ。晩飯を何にするかで悩んだ結果、水炊きを作ることになった。
白菜、肉、しいたけ、えのき、にんじん、葱、糸こんにゃく。その辺りを購入したはずである。ここまではまだ良い。何を思ったかここにサンマが加わった。
I:「何でサンマやのん」
n:「いや、串に刺して焼こうかと」
I:「そら旨そうや」
n:「今年はまだ食ってへんしな」
明らかに鍋材料とわかる食品群のなかに独りぽつねんと放り込まれたサンマ。目が虚ろであったような気がする。こいつだけ浮いてるよな、明らかに変だよな、とは思いながらサンマの焼ける匂いを想像して自分はワクワクしていた。それはI氏も同様であったようだが、レジで精算する段階なって、ボソッと
I:「コレだけ浮いとるわな」
と呟くのは止めてほしかった。必死に笑いを堪えるレジの人、およびいたたまれなくなって身をよじる自分。あの場の奇妙な連帯感は今でも忘れられない。
確かに、たき火で焼いたサンマは旨かった。旨くて当然だとでもいいたげな旨さだった。やがてさまざまな妄想が飛び交い始める。
I:「渓流でやりたいな、コレ」
n:「???」
I:「釣り人の人の隣でサンマ焼くねん」
n:「サンマの焼ける匂いプンプンさして」
I:「ビクの中にはイキのいい生サンマ」
n:「やはりサンマは目黒に限るとか何とかいいながら」
I:「釣り竿必須やな」
n:「長靴とゴム前掛けも要るな」
世界を渾沌に陥れるために生を享けた我々である。