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2012-03-07 [長年日記]

[D] 「石屋」

前フリとなるイベントが何か有ったように思うのだが思い出せない.ともかく女性と石屋にいる.意味合いとしては現実の町で時折見かけるパワーストーン屋といった態の店なのだが実際のそれそのものというわけでもない.ピンククオーツもラピスラズリもトルマリンもない,ひどく地味な石ばかりを売っている店である.

彼女行きつけのこの店で,彼女が何か「買うもの」があり,私はその付き添いとして入ったように思う.その証拠に,私はいま手持ち無沙汰だ.藁籠に入った石たちを,手にするでもなく品定めするでもなく,しかし一つ一つの籠の中身を点呼するように眺めながら彼女の後をついていくだけだ.

売っている石がずいぶん大きいのも現実的ではなかった.握ればそれ1個で手一杯になるだろうという大振りの石ばかりだ.小さくてもピンポン玉くらいはあり,2,3個握って胡桃グリグリをしたくなるような佇まいで籠の中に収まっていた.中にはぴかぴかに磨かれて光っていたり,妖艶な模様を秘めたものもあったりするのだが,概して地味な色合いの,石らしい石のほうが多かった.だから「石屋」と呼んだほうがしっくり来るように思うのだ.

棚に並んだ籠の中から彼女は手早く目的の石を選び出す.蛤の化石のごとき石を5つほど.現実にそのような形でコロンと採れるものかは知らないが,大きさといい模様といい,ざらざらした手触りといい,「蛤の化石」としか言い表しようのない石だった.それから,十六面体のサイコロの角を削り落としたような石を同数.こちらはつるつるに磨かれた黒地の肌が光っている.角度によって輝きが変わるキャッツアイのような模様と原色の斑模様が入り交じっていて,まだ若干パワーストーン的だ.

私はそれを抱えてレジへ運ぶ役目を仰せつかった.運びながら「これ,何に使うん?」と聞いた.曰く首飾りにするのだという.そして,そういう加工もここでしてくれるのだとも言った.確かに,店の隅にはそれ用の素材と思われる編み紐や,無地のベルト,サスペンダーなどが掛けられていた(加工した石を飾りにするのだ).あんな大きな石を首飾りにしたら肩が凝るんじゃないだろうかと素面の今は思うのだが,夢の中の自分はさも謎が解けたかのような納得をしてその言葉を聞いていた.あるいは演劇に使う小道具的なものを作ろうとしているのかも知れないと.事実その石は大きさこそ大きいものの重さを感じさせなかった.夢ゆえに重さのことがすっかり抜け落ちていたのだ.

店の奥に加工機械を置いた一室がある.そこで店主が加工してくれるという.ものによってはその日のうちに加工し,出来たものを持ち帰ることもできるようだったが,今日は予定が詰まっているのか,預けて別の日に取りに来ることになったようだった.

そういう二人のやりとりを退屈そうに聞いていた私に,店長が気を回して加工機械を説明してくれた.卓上版三次元切削機とでもいえばいいのだろうか,固定した石に様々な角度から切削を加えることができる機械であるらしい.「どれ一つ試してみようか」とか何とかいって,鮮烈なオレンジ色をしたプラスチックのような石をひとつセットし,瞬く間にそれを削り上げていった.

回転しながら右に左にせわしなく動く刃によって平面が削り出されていく.本来こういう工作機械は刃を定位置にして削る対象を動かして削るものだが,その逆だ.そのせいか若干ビビって波打っているように見えたが,そこはそれ,あとでヤスリで磨いたりなどするのだろう.だんだんと形が整っていき,厚切りにしたかまぼこのような半円形に,左右に小さな突起がついた何かが出来てきた.「何を作ってるかわかるかい?」店長が聞く.うーん,と首をひねる私.

2,3秒して閃くものがあった.

「ひょっとして,あれですか? ナンバーくん」

「その通り!」

児玉清氏のような口調でそう言われた.


なぜここでナンバー君が出てきたのか一向にわからない.しかも自分は間違って「ポスト君」と覚えていた(これを書くために検索して気づいたのだ).そんなうろ覚えな記号がこのシチュエーションで現れた理由が解せぬ.そのぱっちりお目目が日本語フォントに登録されている不思議,および一生涯使うこともないだろうと思ったことはあるが,それ以上でもそれ以下でもない存在である.しかもこの先どう作るつもりだったのだろう.「〒」の上辺など,削ったら取れてしまうではないか.


女性は小学校時代の同級生である.同級生であるという以上の接点を持たないし,卒業以来20数年もあったことがなく,顔すら覚えていない人物なのだが(そういえば卒業前に越していったのだっけ,と今更ながら思い出した),何故かよく登場人物として出てくる.顔を覚えていないのにそうだとわかるのも変な話だが,私の夢の登場人物は皆そんな感じだ.名前と存在感だけでそれが誰であるかが決定されるのだ.


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