トップ «前の日記(2016-10-16) 最新 次の日記(2016-10-23)» 編集
1941|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
1942|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
1943|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|
2005|09|10|11|12|
2006|01|02|03|04|05|06|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2013|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2014|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2015|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2016|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2019|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2020|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2021|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2023|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2024|01|02|03|04|

旧道倶樂部録"

nagajis不定記。
本日のアクセス数:0|昨日のアクセス数:0
ad

独言 | bdb | C60 | D | KINIAS | NDL | OFF-uploader | ORJ | pdb | pdf | ph | ph. | tdb | ToDo | ToRead | Web | web | きたく | | なぞ | ふむ | アジ歴 | キノコ | コアダンプ | | ネタ | ハチ | バックナンバーCD | メモ | 乞御教示 | 企画 | 偽補完 | 力尽きた | 南天 | 危機 | 原稿 | 古レール | 土木デジタルアーカイブス | 土木構造物 | 大日本窯業協会雑誌 | 奇妙なポテンシャル | 奈良近遺調 | 宣伝 | 帰宅 | 廃道とは | 廃道巡 | 廃道本 | 懐古 | 戦前特許 | 挾物 | 文芸 | 料理 | 新聞読 | 既出 | 未消化 | 標識 | 橋梁 | | 滋賀県道元標 | 煉瓦 | 煉瓦刻印 | 煉瓦展 | 煉瓦工場 | 物欲 | 独言 | 現代本邦築城史 | 産業遺産 | 由良要塞 | 発行 | 看板 | 石垣 | | 竹筋 | 納得がいかない | 索道 | 絵葉書 | | | 資料 | 近世以前土木 | 近代デジタルライブラリー | 近代化遺産 | 近遺調 | 道路元標 | 道路考古学 | 道路遺産 | 都計 | 醤油 | 陸幼日記 | | | 鯖復旧 | 鳴門要塞

2016-10-18 [長年日記]

[独言] データ入力

コピってきた工場通覧を整理中。昭和11〜25まで終了。愛知県は日中戦争が始まった頃から耐火煉瓦工場のパンデミックが起こるのが興味深い。この時期はどの県でも煉瓦工場が簇出するのが観測されるが愛知県はそれが顕著。耐火煉瓦を中心に普通煉瓦工場も増える。この時期が工場数のピークなのではなかろうか。大阪や兵庫ではここにピークはない。

軍需関係の産業が爆発的に増えたからなのだろう。新工場の設立が相次ぎ建設材料としての煉瓦・産業資材としての耐火煉瓦の需要が増えたため、とか何とか説明はできそうな気がする。ただ大阪や兵庫でも多分そうだったろうと思うのに愛知ほど顕著に増えないのは何故か、またコンクリートでなく煉瓦なのは何故なのか。産業と煉瓦との関係を考えてみるのも面白いかも知れぬ。

この時期に付近でよい耐火材料が見つかったというのも関係しているのではないか。うろ覚えだが三重県阿山郡島ヶ原村の珪石とか岐阜県美濃市の辺りだとかは昭和に入ってから採掘が盛んになったような。美濃の陶器製造業は明らかに昭和に入ってから激増する。戦後などは岐阜県の窯業関係工場の9割以上が陶器製造業。してコーヒーカップとかディナーセットとか輸出用陶器とか外国向け製品を作る工場が多数見受けられる。あれ、ひょっとしたら戦前は煉瓦耐火煉瓦欄しか見てなかったからかも知らん。でもまあ美濃窯業も昭和8、9頃だしなあ。

愛知県では平坂町に煉瓦工場が多かった。平坂煉瓦工場が大阪窯業に買収される前後なんかは恐らく素地製造と思われる小工場群でコロニーが形成される。楠村明神左右とか明神後とか。平坂工場は字丸山だっけ。それと碧海郡新川町。ここが岡田煉瓦だったっけ。ともかく土地勘がないのですぱっとピンが刺せない。知多半島渥美半島で囲まれたまんなかのあたり、クワガタの口の付近。恐らくこの付近は赤土が無尽蔵に採れたんじゃないか。

たしか耐火煉瓦は戦時中も生産制限を受けなかった。比較的自由に製造することができた。鉄鋼とか鋳造とか製薬とか様々な産業の資材になるから。それも増加に一役買ってるんだと思う。

[] 中村雄二郎「術語集」(岩波新書黄表紙)

哲学者中村雄二郎氏の著作。うまく言い表せない面白いさがある。読めば読むほど賢くなった気がし嗚呼哲学とはこういうことをする学問なのだな確かに学部一個設けてやらんとおっつかないなと思ったりするが書かれている内容をどっかで披瀝するようなことは多分できない。「術語」とは即ちテクニカルタームのことで、コスモロジーとかパラダイムとかスケープゴードとか、よく聞くけれど漠然としか理解していなかった言葉、あるいは「子供」「制度」「仮面」のようなよく使う言葉だが特定分野においてはそれ以上の深い意味をもつ言葉なんかを解説してくられている。はじめカタカナ言葉の解説書かと思って手に取ったがそうじゃないのだな。そして語彙解説というわけでもない。副題に「気になることば」とあるのは氏が興味をもった言葉というまでで別に言葉の乱れを憂えてるわけでもなく。ええい言葉が足りねえ。

読んでつくづく思うのは哲学という学問の意味。世の中の成り立ち・世界・人間の思想・ありよう、そんなものを分析して言葉で現して理解しようという学問と勝手に捉えておるのだが、ふだんの生活の中で当たり前と思っている事象を哲学的に見、表現されると、すっかり違うものに見えたり、見得なかったものごとが鮮明に浮かび上がってきたりするから面白い。朝起きて会社行って帰って寝る、の反復を反復し続けていればだんだん飽きてくるし投げやりにもなる。日々の暮らしとか人との関係とか社会が要請してくる制約とかを時たま違う視点で見たり考えたりして変化をつけないと硬直死するばかりだ。哲学ってそういう時のための学問なんじゃないかしらん。

「通過儀礼」の項目でたまたま暴走族だとかピーターパン症候群とかに触れられていたのだけれども、成人式で仮装してみたりとかヤンキーが暴れるとかいう昨今の事象のことを言っているようで興味深かった。平常運転に句読点を打って新たな生を営むための・集団を保つための(大人集団に仲間入りするための)通過儀礼としての成人式。ヤンキー集団という集団を維持するための暴走も一種の通過儀礼であって。成人式で暴れるのも要するに集団だからで一人で特攻服着て行ったり暴れたりするような漢はいない。集団としての行動が成人式会場でぶつかっているわけで、そういう集団対集団の拮抗と考えるとまあ突飛な現象ではないのかと納得したりする。しかも成人式の意味合いはどんどん形骸化していってて「大人が新成人を祝う」だけの儀式になってしまった。大人集団すなわち社会の一員になったのだということを、儀式によって印象づけ、自覚を促したり責任を負わせたりするために成人式を行なっていた時代とは似ても似つかぬものになった。そういう形骸化をぶち壊して破壊→再生を試みているのかも知れない。コスプレで参列しようってのも場の統一感をぶち壊そうというものだしな(で多分コスプレってピーターパン症候群と関連があるものだと思うのだ)。形骸化したもの・硬直したものはいずれ破壊されるか自ら壊れるかして変わっていくのが摂理だろう。特定の個人が破壊を狙って破壊するんじゃなく、歴史の必然というか、生物学的な自明というかで。

みたいなことをもっと端的・理論的・わかりやすく読みやすく説明してくれるのが哲学者。


トップ «前の日記(2016-10-16) 最新 次の日記(2016-10-23)» 編集