nagajisの日不定記。
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福知山線の古レールの件、早く片付けてしまいたいのは山々なのだが、日曜日しか入れないラストの一区間が残っているため手がつけられないでいる。そうこうしているうちにTさんから膨大な量の資料を頂いてしまい、それを読み始めたらますます完成が遠のいてしまいそうな塩梅だ。知りたくて知り得なかったアレヤコレヤのマル秘情報が満載で、踏み込んだが最後戻って来れなくなりそうでもある。恐ろしいことである。
そんな資料から得た知識をひとつ。レールには製造者や製造年だけでなく「熔鋼番号(製鋼番号)」と呼ばれる文字列も刻印されている。その会社のどの溶鉱炉で製造したインゴットから作ったのか、そのインゴットを転圧してレールの形にした後裁断するわけだがその裁断の何番目のものなのかがわかるようにしている。ロット番号みたいな役割の文字列である。
福知山線柵はほとんど塗装がなされていないお陰で右写真のような陰刻英数字列を見ることがある。これって何だろうと思っていたら、これが熔鋼番号なのだった。駅舎のレールは分厚いペンキに埋もれて見えないことが多いはず。
熔鋼番号の表記法は会社によって違ったようで、例えば八幡製鉄所なら「M12345」とか「2S291841」とかいうパターン。末尾5桁はその年・その炉の第n番目の製造インゴットから作ったことを示し、頭のアルファベットは製造工場を示す(M:第一工場、S:第二工場、T:第三工場、K:第四工場)。さらに頭に数字がつく場合は第m番目の切断レールである。最初の一本には数字がつかない。1インゴットから大体3本くらいのレールがとれ、熔鋼番号は各レールの先頭から1mくらいのところに押されていたそうである。
写真のレールは「M75784」と読める陰刻があり、それ以外に刻印を確認することができなかった。しかしこの熔鋼番号のお陰で八幡製鉄所第一工場の炉でその年75784番目に製造したインゴットから取られた1本目ということがわかる。面白い。
カーネギーは下3桁がn番目に溶鉱炉から出たことを、頭の1or2文字の数字が溶鉱炉の番号を示す。S15頃には溶鉱炉(平炉)が16基あったので1-16の数字で始まることになるが、3は転炉にあてがわれていて下の数字も4桁であったらしい。末尾にはアルファベットのA〜F、これが第n番目の切断を示す。 (「線路軌範上」p.115-116)