nagajisの日不定記。
本日のアクセス数:0|昨日のアクセス数:0
ad
Iビーム。
H形鋼。
両者の中間形態としてワイドフランジなIビームが存在した。レールの脚と同じようにフランジに約9°のテーパーがついている。アメリカのサッカーチーム・ベスレヘムスチールのロゴマークに使われていたのはこいつだ(丁度いいのをRedditで拾った)
Incredibly detailed specs for the Bethlehem Steel logo from r/graphic_design
こうやってつくるのでフランジにテーパーがつく。
あるいはこう。テーパーがないとフランジをきっちりと圧延できないし、もしこれと同じやり方で完全垂直なH鋼を作ったらミル(ロール)に差し込むことができない。一回り大きなやつを突っ込んで圧するということができぬ。
H鋼ってずいぶん昔からあるものだと思い込んでいたけれども、決してそんなことはない。1964年12月に発行された日立の技報「トピー工業株式会社豊橋製鋼所納 H形鋼圧延設備」によると、1900年代初頭にヨーロッパでワイドフランジビームが発明されて、それが長いこと主流だった(サッカーチームのベスレヘム・スチールがマークに採用してたのもBethrehem Steelがその製造を得意としてたからだ)。その後US SteelのHomsted工場、South Chicago工場(元Illinois)、そしてBSCoのLackawanna工場に「ユニバーサルミル」という特殊な圧延機が導入されてH鋼が作られるようになったそうである(たぶん戦後のことだと思う。そんでベスレヘム・スチールのマークもワイドフランジIビームからH形鋼に変わってる。ユニバーサルミルの構造は先述論文ミルヨロシ)。
日本でも1961年頃から国内製鋼所にユニバーサルミルが設置されH形鋼の国産化が始まった。1964年には日立が第一号となる国産ユニバーサルミルを製作してトピー工業に納入している。上記の論文はその報告だ。
この間和歌山へ行った時に西笠田駅から和歌山線に乗ったのだけれども、この無人駅の待合室(といってもベンチと屋根があるだけだか)の屋根を支えていた柱がワイドフランジビームだった。写真撮りそこねたけど。その後時々ワイドフランジビームを探しているけれども、ありそうでなかなか見つからない。阪急十三駅の宝塚線ホームにある鉄骨柱はH鋼のフランジ幅が小さいやつ。これと見た目は一緒だが、淡路駅の柱はどうもテーパーがついてるっぽい。一時停車している電車から降りて目の前の柱を触ってみただけなので、ホントにそうなのか確証し難いが(傍から見たらさぞかし怪しい行動だっただろうな)、テーパーがあったような気がする。しかしそうだったとしてもフランジが狭いので要するにIビームである。十三駅のは屋根梁と溶接、淡路駅のは高力ボルト接合という違いもあった。