nagajisの日不定記。
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帰ってやろうと思っていたことを何一つせず、かわりに煉瓦の生産量グラフを弄ったりなどする。全国の煉瓦生産量は『日本土木史』掲載データを使っていたが明治40年、大正元年、のような飛び飛びのデータだったのが気になり調べていくと『農商務省統計』にデータを発見。これで明治38〜大正12まで抑えることができた。さらに調べていくと官房統計課作成の統計『工場統計表』(のち『工業統計書』)もあって、どうやら『日本土木史』はこちらを使っているようだった。これは経済産業省のサイトからpdfをダウンロードできる。
双方で数値が違うのがちょっと気になる。同じ大正12年の赤煉瓦製造量が千万の位で違ったり。どうなっておるのか。とりあえず『農商務省統計』はその範囲で使うことにする。一番気になる明治〜大正の変動を見れるわけだし。
そうして大阪府の煉瓦製造量。改めて見るとM29で急激に減少しているのがおかしい。数値はM36『大阪府誌』から取ったがこの時点で一ケタちがうのだ。そのくせ価格は前年より一ケタ多く、確か4倍くらいにもなってる。卸売価格はM29頃にピークがあり、それからすると製造量が激減したせいで単価があがったと見れなくもないが。せいぜい1.5倍くらいにしかならんかったんじゃなかったっけか。
生産個数の数字がひとつ生産額のほうに行っちゃってるようにも見える。そうすると生産個数は前年+600万個の9700万個、価格は61万→35万と下落してしまうことになり、単価は下がらねばならず、それもおかしいわけで。おやおや。
(単に製造個数の数字が一ケタ間違っているだけなのだろう。29年初頭には5.3円/千個だったのが12月までリニアに増加し10.2円/千個に達している。ピークは30年1月の10.7円/千個。そんなかんじの状況で生産数が前年度よりちょっと多ければ2倍強になるやも知れぬ)。
このへんを埋められるデータがあるといいのだが府統計書M29には煉瓦生産量載ってねえんだよな。乗り始めるのはM34くらいから。のはず。そこには確かにある。ただ何故かM36は個数がなくて販売額だけだ。あ、これは卸売価格で販売額を割れば出ないことはないのか。
ふーん。だとすると明治30年の工場パンデミックは単に築港計画だけでないことになるな。その前年から煉瓦価格の高騰があって、それが築港計画の影響だとしても、実現するかどうかという段階の29年中に慌てて買わずとも良かろうとは思う。ただ29年の煉瓦高騰を見て儲かる仕事と考え、かつ築港もあるので、悩んだ末会社設立→尻馬に乗れずに廃業と見るのが素直だろうか。
じゃあなぜM29に煉瓦価格が高騰したのかしらん。1896年かあ。あんまりピンとこないな。阪鶴は30年からだし南海はさらに後出し。東海道線の複線化ももうちょっと遅いような。