nagajisの日不定記。
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縦目地の余地がない 9 x 4-1/2 x 2-1/4 ins, の煉瓦のことを調べていて発見した。外国の古い技術書を読んでみても、縦目地の幅を別に取ることをしていない。1093年初版のGilbreth "Bricklaying system"なんかは 8 x 4 x 2 ins. 煉瓦を使ってすべてを説明している。一枚半の壁も(当然目地込みで) 12 ins.とする。+1目地分の扱いをどうするかなんて書かれちゃいない。
この本が 8 x 4 x 2 ins.を採用しているのは、それが平均的な寸法だからでもなんでもないらしい。世の中には 9 x 4-1/4 x 2-3/4 ins, が多いことももちろん知ってるけれども。みたいな書き方。この本が "煉瓦の積み方”をいかに効率よく行なうかを説く目的で書かれたものだから、というわけでもないらしい。設計者のほうでは縦目地込みで壁厚を決めたり煉瓦の必要数を算出したりしたものかとも思ったが、だったらその+1目地分厚い壁のことに触れていておかしくない。
目地厚さは水平目地の厚さで決まる。仕上がり寸法に関わってくるのは水平目地の厚さ、すなわち煉瓦の厚さ。東京形なら1枚半は7.5+3.6寸=11.1寸≒11寸、並形は7.4+3.5=10.9寸=11寸。それが煉瓦建築の大前提であるらしい。そのことを明示した日本語の技術書はないんじゃないかしらん。
だからそう、縦目地を込めない 9 x 4-1/2 x 2-1/4 ins, に違和感を覚え、縦目地のぶんも折り込みつつ、一段2寸になるような煉瓦が並形であったのかも知れない。ここで水平目地2分とすると7.4x3.5では縦目地が4分で2分広くなる。水平目地も4分とすれば5段11寸になり得るが、そんな広い目地もあれば非常に詰んだものもある。6mmくらいの差はたぶん問題にならない。
そうか、詰んで詰んだら一枚壁の内側が飛び出るパターン。
並形的な煉瓦のほうが、目地の調整で壁厚ジャスト11寸にすることもできる。東京形では(4段9寸でいくなら目地2.5分になることもあって)11寸にすることは難しい。かといって12寸にもできない。