nagajisの日不定記。
本日のアクセス数:0|昨日のアクセス数:0
ad
六時起床なる予定なれども、四時半非常呼集あり早発。終日校外訓育にて金峰山登山をなすものなり。往復電車なりき。荒尾にて朝食をとりたるが、以後の行軍はきつかりき。特に「猿スベリ」とて急なる坂を一気に登りたる際なりき。きつい、これ即ち鍛錬なりと思い、広野に働く出動軍人を考うるに、何と恥ずかしく、又、速に、これに打ち勝つ体力をつくらんが以後の我等の任務と思う。頂上よりの眺望特によろしく、海・島・山・平野・川、一目中にあることこの眺望の特色なりと思う。山は阿蘇の如く、外輪山にて廻らされ、火山なりと聴き驚きたり。他道を通りて通越(峠の茶屋)にて昼食す。以後軍歌を歌いしが、同じものを度重ねてなせるため、それにあき、元気一層減じたり。帰校十五時。通越にて写真機(訓育班のもの)を予の手にてうつしたるが、科学に熱意のたらぬ予に良き刺戟を与えたり。これ喜ぶべきことなり。夕食まで手入なりき。
〔阿蘇の「蘇」、減じたりの「減」、刺戟「戟」に朱で訂正〕